「ECサイトで事業戦略を展開したい」と考えている企業は多いでしょう。インターネットやモバイルの急速な発展にともない、場所や時間を選ばずに物を販売できることは私たちの生活や仕事を一変させました。
経済産業省がまとめた2017年のEC市場(BtoC)※1によると、前年の15.1兆円から16.5兆円(9.1%)まで拡大しています。今後もこの拡大傾向は続く予定です。EC化率は5.79%(前年比0.36ポイント増)であり、これは経済市場全体に占めるECの割合を示しています。
このデータを見るだけでもいかにECサイト市場が拡大傾向にあるかが分かりますし、これを受けてECサイト事業に参入しようと考えるのはごく自然のことです。特に最近では海外市場を相手にした越境ECも活発になっており、メイドインジャパン製品が続々と世界に発信されています。
ECサイト事業を開始するにあたってまず大切なのが決済手段の確定と導入です。どういった決済方法があり、何が最適なのか、これを理解することで効率良く決済方法を導入したりユーザーにとっての利便性を高めます。つまり、どのような決済手段を提供するかでECサイトの売上に大きく差が出るということになります。
そこで本稿ではECサイトでの決済代行手段についてご紹介します。
ECサイトにクレジットカード決済を導入する
「日本のクレジットカード保有率は85%」というデータが、株式会社ジェーシービーが行った調査※2によって明らかになっています。これは単純に考えてECサイトを利用するユーザーの9割近くがクレジットカードを保有しているということです。海外と比較すると日本のクレジットカード利用頻度は低いものの、同調査によると2013年から微増傾向にあります。
そのため、ECサイトにおいてクレジットカード決済を導入することは“絶対条件”とも言えます。皆さんもVISAやMASTER、JCBなどのカードで買い物をしたことがあるでしょう。ではクレジットカード決済を導入するにはどうすればよいのでしょうか?
それは“直接契約方式”と“間接契約方式”の2つがあります。
直接契約方式
ECサイトが導入しておきたいクレジットカード決済ブランドは最低でもVISA、MASTER、JCBの3ブランドです。これらのブランドは日本で最も使用されているクレジットカードブランドであり、これにAMEXとDINERSを含めて5大国際ブランドと呼ばれています。
直接契約方式はこれらのクレジットカードブランドのうち契約したいブランドを管轄しているカード会社に連絡し、個別に審査を受けて契約を結ぶという方法です。審査基準はクレジットカードブランドごとに違い、個人事業主や小規模なECサイト等では中小企業や大企業に比べて審査基準が厳しくなる傾向にあります。
複数のクレジットカードブランドと無事契約できても残る問題は、ブランドごとに契約内容や運用方法が違うということです。たとえばセキュリティ要件を満たすための方法に違いがあったり、ECサイトから支払う決済手数料が違ったり、各カード会社からの入金サイクルも違います。
そのため直接契約方式で複数のクレジットカード決済に対応できても、その後の運用が煩雑になり大きな負担になってしまう傾向があります。
間接契約方式
間接契約方式とはいわゆる“クレジットカード決済代行会社”に各クレジットカードブランドの審査や導入を一括で依頼し、クレジットカード決済を導入するという方法です。クレジットカードブランドごとに審査内容は違いますが、決済代行会社に依頼すれば提出する資料が一つで済んだり、システムのセットアップが単純化されていたり導入までの手間を大幅に削減できます。
さらに導入後の運用に関しても決済代行会社に一任でき、決済処理や入金サイクルをまとめることもできます。
大企業ともなると個別にクレジットカードブランドに対応するメリットがありますが、小規模事業者や中小企業がECサイトを運営する場合、間接契約方式を利用した方がコスト面や運用面を考慮して高いメリットがあります。
クレジットカード決済代行会社を選ぶ際に注意点
ECサイトのクレジットカード決済導入や運用を代行してくれる会社は国内で多数存在します。その中で、自社にとって最適な優良代行会社を選ぶにはどうすればよいのでしょうか?
一般的にはクレジットカード決済にかかる手数料に着目します。ここでのポイントは「トータル的な費用を考えること」です。たとえばクレジットカード決済手数料を「決済金額の〇%」と設定している決済代行者は多いですが、その比率だけで決めるのは危険です。
決済代行会社によっては月額最低手数料や月額固定費用、あるいはクレジットカード決済1件あたりにトランザクション料が発生したり、売上確定料がかかったりと細かい部分で想定していない費用が発生する可能性があります。
決済代行会社を選ぶにあたって手数料を決め手にするのはよいのですが、単純な手数料だけで判断するのではなく自社の労力も含めたトータルコストを算出してから選ぶことが大切です。
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他にも対応しておきたい決済方法とは
口座振替決済
特定の口座から定期的に支払い料金を引き落とす決済手段です。定期購入商品などの際に有効で、ユーザーは時に振り込み作業を行わなくても支払いができるという利点があります。
コンビニ決済
商品購入後、送られてきた支払票または支払番号にてコンビニで決済を行う方法です。最近ではコンビニ決済に対応したECサイトが多く、コンビニでの商品受け取りサービスも提供しています。
代金引換決済
配送業者と提携して商品お届け時に料金を支払ってもらう決済手段です。クレジットカードを所持していないユーザーや、銀行振り込みが面倒なユーザーなどはこの決済手段を使用することが多いでしょう。ECサイトの決済手段としては高い割合を占めるため、実装しておくことをおすすめします。
PayPal決済
クレジットカード決済を簡単かつ安全に提供する決済サービスです。ユーザーはPayPal決済でアカウントを作成し、クレジットカード情報を登録すれば購入の度にECサイト側に情報を提示せずとも決済を完了できます。世界2億人以上に利用されるサービスであり、日本でも徐々にユーザー数が増加している決済手段です。
Alipay(アリペイ)決済
中国の大手IT技術会社アリババグループが提供する国際的なオンライン決済サービスです。中国のオンライン決済の5割以上と、モバイル決済の8割以上を占めるサービスであり、中国市場を相手にした越境ECを展開する際は対応必須な決済手段でしょう。
決済方法の充実化はECサイトの要と言っても過言ではありません。可能な限り決済方法を充実にすることで、より多くのユーザーから利用されるECサイトを目指しましょう。
BtoB ECサイトには掛け払い対応も必須!
最近ではBtoBビジネスにおいてECサイトを活用するケースが増えてきました。その際に大切なのがクレジットカード決済など一般的な決済方法に対応するだけでなく、BtoBビジネス特有の掛け払いにも対応することです。
もっと見る:BtoBのECサイトはBtoCとどう違う?
BtoBビジネスの場合、日本国内の商習慣として見積りから発注、そして請求といった流れになります。また、代金も都度請求するのではなく月末締めの翌月末払いなどの処理が行われます。比較的金額が大きくなる傾向のあるBtoBビジネスでは、本当に買い手企業に支払い能力があるのかの与信審査も必要です。いわゆる掛け払い対応がBtoBビジネスには必須であり、大きな案件であればあるほど、掛け払いの必要性は増してきます。
そこでBtoBビジネスを考慮した場合には、掛け払いを代行してくれるサービスを検討することが重要になります。
たとえばヤマトクレジットファイナンスが提供する“クロネコ掛け払い”は、取引先の与信調査から与信管理、売掛管理や請求管理まで代行するサービスです。万が一期日までに売掛金の入金が無くともヤマトグループが代金を100%保証します。BtoBビジネスにおける決済業務を大幅に効率化したり、貸し倒れのリスクをゼロにできるのでサービスの利用をぜひご検討ください。
※1 電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました~国内BtoC-EC市場規模が16.5兆円に成長。国内CtoC-EC市場も拡大~
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