ECサイトにおいて購入希望の商品をカートに入れて、ひと通りネットショッピングを楽しんだ後にいざ購入画面に進むと希望する決済方法が無い…。といった経験はないでしょうか?その後、選択可能な決済方法の中から選んで購入したという方はどのくらいいますでしょうか?このようなケースでは、実に70%以上の人がそのECサイトから離脱すると言われているのです。
つまり決済方法の選択肢を増やすことは販売の機会損失を回避するための非常に重要な施策になるということがお分かりいただけるでしょう。その結果、最近では各ECサイトで多様な決済手段を用意していると思います。しかしながら、各企業がそれぞれの決済手段に対応するのは容易なことではありません。たとえばクレジット会社だけでも主要なブランドがいくつもあり、それぞれ異なる審査基準や手続きが必要です。運用まで考えると莫大な手間と費用がかかってしまうのです。
そこで多くのECサイトや企業が導入しているものが決済代行サービスです。このサービスを上手く使えば決済方法の選択肢を増やし、かつ機会損失を回避して収益アップを狙うことができます。
これは最近増えてきているBtoBのECサイトでも同様のことが言えます。BtoBの場合には一般消費者とは異なり、一定期間の取引をまとめてあとから請求、回収することが一般的です。このような場合も、新規取引先の与信から請求、入金確認までを個別に対応するのは非常に手間がかかります。
今回はそんな決済代行サービスの基本と、活用メリットおよび選定ポイントをご紹介します。
決済代行サービスとは?
改めて決済代行サービスについて解説します。まず、ECサイトにおける決済方法の種類はおもに次のようなものがあります。
<BtoC>
銀行振込…指定した銀行口座に代金を振り込んでもらう
クレジットカード…購入者が持つクレジットカードで代金を支払ってもらう
代金引換(代引き)…商品お届け時に代引き手数料と合わせて代金を支払ってもらう
コンビニ払い…商品発送前またはお届け後に決済会社が発行する請求書によって指定のコンビニで代金を支払ってもらう
郵便局払い…商品発送前またはお届け後に決済会社が発行する請求書によって郵便局で代金を支払ってもらう
電子マネー決済…Suica、Edy、Waonなど電子マネー機能を搭載したプリペイドカードなどで代金を支払ってもらう
プリペイドカード…コンビニや家電量販店で購入したプリペイドカードで金額をチャージし代金を支払ってもらう
キャリア払い…スマートフォンのキャリア会社が債権を譲り受け毎月の携帯料金に合算する形で代金を支払ってもらう
仮想通貨…ビットコインなどの仮想通貨を利用して代金を支払ってもらう
<BtoB>
<BtoC>で挙げた決済に加えて、
掛け払い…企業間取引において一般的な決済方法であり、一定期間内に購入・利用された商品やサービスに対して後日一括で代金を支払ってもらう
以上が主な決済方法です。決済代行サービスによって対応している決済方法が異なりますが、一般的に使用される主要な決済方法については対応しているものが多く、ユーザーに多様な選択肢を提供できます。
たとえばECサイト向けの決済代行サービスの場合、銀行振込、クレジットカード、コンビニ払いをサポートしているものがほとんどです。ECサイトにおいてこれだけでの決済方法が揃っていれば、購入画面での離脱率を上げてしまうことはないでしょう。
また、企業間取引における決済代行サービスはBtoCのECサイト向けと違い、掛け取引に対応したものがほとんどです。サービス利用企業の売掛金を代行会社が管理して請求を行うため、煩わしい作業を無くしたり未回収リスクを低減したりと経営に大きな効果をもたらします。
決済代行サービスを活用するメリットとは?
最大のメリットは多くの手間を省けるという点でしょう。前述のように、決済方法の選択肢を増やすためには通常各クレジットカード会社の審査基準を満たしたり、運送会社と代金引換に関する契約を結んだりと色々と面倒なことが多くなります。商品を購入されるたびにその情報を独自に処理するというのも非常に手間です。決済代行サービスを利用することでそうした手間を省けると、ECサイト改善や経営戦略といったコア業務により集中することができます。生産性を向上し、ビジネスの価値を高めていけます。
また、BtoB取引の決済代行サービスを活用するメリットは、代行会社が売掛金を管理して請求業務まで行ってくれるので、同様に手間のかかる作業を省き、かつ入金確認まで不要になったり未回収リスクが低減したりと多くの導入効果があります。
もう一つのメリットは与信管理が簡易になるという点です。これまで、中小企業や個人事業主など与信基準を満たしていないがために販売機会を逃してしまうというケースがありました。このようなリスクを代行会社が吸収してくれるので、与信の手間や未回収のリスクを回避でき、販売機会を逃すことがなくなるでしょう。
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決済代行サービスの選定ポイント
決済代行サービスの魅力を理解し、いざ導入しようという気持ちに至ってもどのサービスを選べばよいのか迷ってしまいます。各代行会社が提供するサービスに大きな違いは見られないし、かといって価格面だけで決めるのも不安という方も多いでしょう。ここでは、決済サービスの選定ポイントについて解説します。
ポイント①セキュリティを重視する
決済代行サービスを導入するということは、ECサイトで商品を購入したユーザーや取引先の情報を代行会社が扱うということになります。そのためセキュリティ要件を確認することは絶対です。情報漏えいなどのセキュリティ事件が多発する中、利用する決済代行サービスで事件が発生すれば自社の信頼低下にも繋がります。ただし、PCIDSSやISMSといったセキュリティ国際基準を満たしている決済代行サービスは多いため、そこだけで比較するのではなく導入実績なども確認することをおすすめします。
ポイント②取引先に信頼感を与えられるか
BtoB取引における決済代行サービスを導入する場合、取引先には代行会社から請求が行きます。そのため代行会社自体が安心感を与える企業であるか、ブランドがあるかという点も重要です。買い手側からは、「よくわからない会社から請求が来た」ということにもなりかねません。
結果として取引に影響が出てしまうかもしれません。取引先に信頼感を与えられるよう、ブランドが確立されている大手代行会社を利用するというのもポイントの一つです。
ポイント③コストダウンに繋がるかどうか
決済代行サービスを導入して多くの手間を省くということは、そこにかかる人件費を削減するということでもあります。ただし、導入するサービスによってどれくらいの人件費を削減できるかは異なります。これは一概に「このサービスの導入効果が高い」と言えるものではなく、サービス内容と自社環境によって異なるため、各サービスの費用対効果をある程度算出した上で効果の高いものを選びましょう。
ポイント④カスタマーサービスの充実度
とりわけECサイトなどにおける取引においては、決済方法による問い合わせが非常に多くなります。買い手側は決済方法だけでなく、少しでも納得いかないことがあると商品を購入してくれません。そのため、代行会社のカスタマーサービスの充実度を確認し、消費者に対して満足のいくサービスを提供できるレベルがあるかを精査することも大切です。
ポイント⑤一連の業務プロセスへの対応
ECサイトでの取引は、決済して終わりではありません。特に物販を行う取引においては、在庫管理や決済後の配送など一連のプロセスがあって成立しています。たとえばヤマトクレジットファイナンスが提供する掛け払いサービスは、ヤマトグループの一員でもあるため配送サービスと組み合わせたメリットもあります。特にBtoB取引においては、決済代行サービスを独立して検討するのではなく、関連するサービスを合わせて検討することもポイントです。
決済はアウトソーシングする時代
決済方法の多様化と、消費者および企業のニーズの多様化によって決済はアウトソーシングするのが当たり前の時代になりました。手間が多く、リスクも高い決済業務はできる限り代行会社に任せて、自社ではより付加価値の高いコア業務に集中し、ビジネスの価値を高めていきましょう。その際には、手数料の比較だけではなく、決済代行会社の信頼性や関連業務との連携などの視点も持つことが継続的なビジネスに必要になるでしょう。
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