督促状とは未回収の債権に対し、支払いを要求するための書状です。支払期日を過ぎても入金確認が取れない取引に対して企業はまず催促を行い、それでも支払いがされなかった場合に督促を行います。督促と催促では強制力が異なり、企業が未回収金を取り戻すための重要な手段となります。詳しい解説は「督促状と催促状の違いとは?」をご覧ください。
今回は支払期日を過ぎても入金が確認できなかった取引(未収金)の対処法についてご紹介します。
未収金に対する5つの処置
未収金が発生すると企業はどういった損害を受けるのでしょうか?たとえば利益率10%の商品で1,000万円の未収金が発生した場合、利益の100万円に加えて、原価の900万円も他の売上の利益から補填しなければなりません。その結果、利益率が10%であれば、さらに1億円の売上が必要になるのです。未収金への対応コストを考えると、さらに多くの売上が必要になるでしょう。加えて、未収金が多く発生すると他の取引先や仕入れ先から信用を失う可能性もあるため、未収金による損害は広範囲に及びます。
では、期日まで支払いがなかった場合、企業はどういった行動を取れば良いのでしょうか?
①債権者側に問題が無いか確認する
まず大切なのは債権者側、つまり自社に未収金に関する非が無いか確認することです。少ない事例ではありますが「請求書を送付し忘れていた」「債務者側からの連絡に対応できなかった」など、債権者側に非がある可能性も考慮しましょう。この場合、自社の非を認めればスムーズに代金を回収できる可能性があります。
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②電話で催促する
債権者側の対応が正当でまったく非がなければ、次に催促行為に移ります。その中でも電話は迅速に対応でき、コストパフォーマンスが高い催促方法です。取引先に経理担当者または経営者に電話で連絡をし、相手に不快感を与えないよう言葉遣いに気を付けながら、代金支払いを催促します。その際は24時間~48時間という短い期間で支払期日を設定しましょう。取引先が支払期日に関する相談を持ちかけてきたら、良識の範囲内で対応します。支払期日をきちんと設けることで、期日が超過した際に再度要求を伝えやすくなります。後々「言った言わない」などのトラブルを避けるためにも、取引先に電話で伝えた内容はメモを取るか録音しておきましょう。
③催促状を発行・送付する
電話での催促に対して入金確認が取れなかった場合は、催促状を発行し送付します。内容としては、未払いの金額、支払期日、振込先などの詳細を明記し、支払いを求める文言を含め催促をします。催促状は正式な書面で送付することをおすすめしますが、電報など簡易的な連絡手段でも問題はありません。大切なのは電話以外の手段で支払いの催促を連絡した、という事実を作ることです。
④督促状を発行・送付する
催促状の送付にも関わらず入金確認が取れなかった場合はいよいよ督促状を発行・送付します。督促状と催促状の違いに明確な線引きはありませんが、督促状では支払いの強制力をより持たせるために内容証明郵便で送付し、「〇月〇日までに入金確認が取れなかった場合、法的手段に入ります」といった文言を記載します。内容証明郵便で送付することで「誰が誰に、どんな内容を送付したか」を郵便局が証明してくれるため、法的効力を持たせることができます。
⑤法的処置を取る
督促状の送付にも関わらず入金確認が取れなかった場合は、最終手段として法的処置を取ります。主な手段は次の通りです。
支払い督促の申立
裁判所から債務者側に対して金銭などの支払を命じる督促状を送ってもらえます。送付後2週間以内に異議が申し立てられると訴訟に移行します。
民事調停の申立
簡易裁判所にて当事者同士の話し合いによって解決する方法です。合意に至れば調停調書が作られますが、調停が必ず成立するとは限りません。
少額訴訟
簡易裁判所にて60万円以下の金銭を要求する場合に起こせる訴訟です。1回の期日で審理を終えて判決することを原則とする特別な裁判手続きです。
強制執行の申立
相手の意に反して強制的に行う手続きなので、多くの場合は弁護士への依頼が必要です。地方裁判所で執行文の付与をしてもらい強制執行を申し立てることができますが、裁判所を介する強制執行は長い期間を要するため、回収するまでの手間をてんびんにかける必要があります。
以上が未収金に対する5つの処置と主な流れです。段階的な処置を取ることで「債権者側は十分な猶予を与えたにもかかわらず代金が支払われなかった」という事実が発生し、万が一訴訟に発展した場合も裁判を有利に進めることができます。
この他にも例外として直接訪問で催促するという方法があります。対面で話すことから心情に訴えかけることができる、緊急性を実感してもらうなどのメリットがあります。しかし、アポイントなしの訪問や過度な訪問は逆効果であり、営業妨害として通報されるリスクもあるのでご注意ください。
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なくならない未収金リスクを回避するには?
BtoB取引は「与信取引」が基本です。債務者側を信用し、代金をその場で支払ってもらうのではなく期日を設けてあとから一括で支払ってもらいます。この与信取引は債権者側と債務者側双方にとってその都度決済業務を行ったり印紙税を節約できたりというメリットがあるため、与信取引自体を無くすことはできないでしょう。つまり、BtoB取引で未収金リスクが無くなることはないということです。
では、リスク回避のために企業が取るべき行動とは何でしょうか?
まず大切なのが与信管理・債権管理を徹底し未収金リスクを低減するという方法です。与信管理とはつまり「取引先の信用を管理すること」であり、厳格な与信審査を設け、入念な調査によって取引先に信用を評価します。結果に応じて取引を行うか、与信限度額はいくらにするかなどを決定します。与信管理は継続的な取引がある会社に対しても継続して行い、未収金リスクを極力回避します。
債権管理は取引が発生した案件に対し、支払期日や支払金額、請求書送付状況や入金状況などを管理するための業務です。支払いが確実に行われているか、未収金がないかなどを逐一確認することで迅速な対処をします。
ただし、こうした与信管理・債権管理を徹底したとしても未収金リスクを完全になくすことはできません。そこで決済代行サービスを利用することで、未収金リスクを回避することができます。
決済代行サービスとは債権側に生じる与信管理・債権管理といった業務を代行会社にアウトソーシングし、業務効率化とリスク回避というメリットを取り入れるためのサービスです。たとえばヤマトクレジットファイナンスが提供する「クロネコ掛け払い」サービスも決済代行サービスです。
「クロネコ掛け払い」は取引先の与信調査から支払い期日や支払い金額の管理、請求書発行および送付や入金確認などの業務全体をワンストップで代行するサービスです。つまり、貴社の与信管理・債権管理を丸ごと弊社が代行するイメージです。
「クロネコ掛け払い」を利用する最大のメリットは未収金リスクがゼロになるという点です。取引先が支払期日までに代金を支払わなかった場合、その代金を弊社が100%保証をします。そのため、従来なくなるはずがなかった未収金リスクを完全に回避して、安心安全な取引を行うことができるのです。
特にBtoBのECサイトを運営している場合や、商品の発送などで配送が伴う場合には、ヤマトグループのサービスであるメリットがより大きくなります。与信管理・債権管理および督促業務に課題を感じている企業の皆様は、この機会に「クロネコ掛け払い」のご利用をぜひご検討ください。
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