売掛金未回収の責任はどこに発生するの?

 2024.05.17  ヤマトクレジットファイナンス株式会社

売掛金(債権)の回収は会社にとって経営を円滑に行う上での生命線のようなものです。売掛金を回収することにより初めて売上が会社にキャッシュとして入り、資金として経営活動に回すことができます。しかし、この売掛金が回収できなくなるリスクを常に企業は抱えており、多くの経営層は売上の回収に対して頭を悩ませています。

取引先の経営難や倒産、突然の被災など理由は様々ですがどんな商取引にもそうしたリスクは必ず存在します。ちなみに売掛金回収が不可能なことを「売掛金が焦げ付く」などと表現します。

特に近年では新型コロナウイルスの影響や円安による原材料高騰、さらには深刻化する人材不足問題など、企業にとっては常にリスクが蔓延している社会状況といえます。帝国データバンクによると、2023年度の倒産件数は8881件、負債総額は2兆4344億7400万円となっており両件ともに過去10年で最も悪い数字となっています。そのため、本来ならば売上として企業に入ってくるお金自体が入ってこない「売掛金未回収」のリスクが今後も高まることが予想されます。

出典:帝国データバンク 「2023年度報(2023年4月1日~2024年3月31日)」
最終閲覧日2024/5/16 https://www.tdb.co.jp/tosan/syukei/23nendo.html

では「売掛金の焦げ付き」や「未回収」という非常事態が発生した際はその責任の所在はどこに発生するのでしょうか。
経営者か?営業責任者か?経理責任者か?あるいは、、、

今回は売掛金未回収の責任と、実際に発生した際の対策についてお話します。

売掛金未回収は誰の責任か?

そもそも「売掛金」とは、一般的には掛け取引が発生した際に将来その代金を受け取ることができる権利のことをいいます。会計上では資産として扱われます。

売掛金は販売者側と購入者側の協議により決められた期日に支払われるのが通常であり、購入側はその期日までに指定の方法で購入代金を支払う必要があります。

販売者側は期日までに代金が支払われなかった場合「売掛金未回収(焦げ付き)」になり、最悪の場合は完全に回収不可能な状態になることもあります。

こういった「売掛金未回収」のケースに遭った際、当然ですが責任の所在は「取引先」にあります。販売者側と購入者側で書面や口頭などで契約の取り決めをしているわけですから、購入者側にはその支払いに対して契約の履行を完了させる義務が生じます。
しかし、売掛金未回収が発生した際に、稀なケースですが、自社の営業担当者や経理担当者の責任として「未回収代金を給料から天引きする」といった処置を取る企業があります。あるいは、売掛金未回収により多額の損害を被ったということで営業担当者や経理担当者を懲戒処分する、といった厳しい処置をとる場合もあるようです。これらの対応は正しいのでしょうか?

結論、こういったケースでは、基本的に売掛金未回収の責任は営業担当者や経理担当者にはありません。取引先と通謀していた等の故意、もしくは過失でない限り、未回収の責任を営業担当者や経理担当者に求めることは難しいでしょう。

例えば、とある甲企業に所属する営業責任者Aが担当の取引先である乙企業の売掛金500万円が債務不履行になり、回収不能となった場合、企業甲はその全額を営業責任者Aに損害賠償として請求することはできません。過去の裁判例や法律によりある程度制限されています。

また、とある判例では、売掛金未回収により800万円以上の損害を被ったとして退職届を提出した営業課長を届け日よりも前に懲戒解雇したというケースがあります。この営業課長は退職の意思表示をしているため、これは営業課長に退職金を渡さないための処置だと考えられます。

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これに対し営業課長は退職金の支払いを求めると共に、懲戒解雇処分により精神的被害を被ったとして300万円の損害賠償を請求しました。会社はこれに対し回収不能となった売掛金によって被った損害の賠償を求めました。

この判例の結論は、懲戒解雇処分を無効として営業課長への退職金支払いと損害賠償200万円の支払いを会社に命じ、回収不能となった売掛金の約4分の1にあたる200万円の支払いを営業課長に命じました。

以上のように、売掛金未回収の責任をすべて営業担当者・経理担当者に求めることは難しいことがわかります。仮に勤務怠慢があった場合でも会社の管理体制に少しでも不備があれば会社自体の責任問題として扱われることが多くなります。

取引先の経営者や役員に支払いを請求することは可能か?

では「売掛金未回収の元凶は取引先にある」わけですから、取引先からの売掛金回収が困難なケースに進展した場合、取引を行った取引先の経営者や役員に責任があるとして支払いを請求することはできないのでしょうか?

様々な法令や判例から考えると、「売掛金を請求する権利はあるが、それが支払われるかどうかは取引先次第」というのが結論です。その理由が「会社と経営者は原則的に別である」という法人格の原則があります。

取引先に対して発生した売掛金は連帯保証人契約などを締結していない限り、あくまで「会社(法人)として」支払う義務があるというだけで、「経営者(個人)として」は支払う義務はありません。法人と個人は別人格だからです。そのため、取引先が倒産した場合、元経営者や元役員に対して未回収となった売掛金の支払いを請求することはできないのです。

例外として、経営継続が明らかに困難な状況を認識し、売掛金支払いの見込みがないにも関わらず商取引を行ったといった悪意があると認められるケースの場合、その会社の経営者や役員に対して損害賠償を請求できたというケースもあります。しかし、そうした事実を立証することも困難なため、より慎重な対応が求められることになります。

取引先の経営者や役員に対し未払金に対しての債務を履行してもらう場合は、契約時に「連帯保証人契約」を依頼するのがシンプルな解決策です。信用が少ないベンチャー企業や中小企業に対しては、経営者や役員が連帯保証人となることを取引前に依頼しておくと、万が一売掛金未回収が発生した場合の請求が可能となります。

ただし、会社の連帯保証人になることに法的義務はなく、個人としての負担が大きい理由から断られるケースもあります。

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売掛金未回収を軽減するための対策と提言

法人取引・与信取引において、売掛金が未回収になるリスクは必ずついて回るものです。では、そのリスクを軽減するための対策はどのような方法があるのでしょうか?

まず挙げられるのが「与信管理の徹底」です。
そもそも「与信」とは相手に信用を与えることです。この取引先に対して、売掛金を問題なく回収できるだろうと信用することをいいます。こうした信用管理を徹底することである程度の売掛金未回収リスクを軽減できます。

具体的には取引先の決算報告書や基本情報、または経営者情報などを踏まえて与信審査を行い、基準を通過した会社とだけ商取引を行うのです。さらに、取引先によって与信限度額・取引限度額を設けて、万が一売掛金未回収が発生した際に自社が被る損害を最小限に抑えるなどの取り組みも行います。

続いて挙げられるのは「支払い方法の変更」です。
法人取引における決済手段の形は様々ですが、一般的には「請求書払い」が多く割合を占めるかと思われます。しかし、請求書払いは取引先に信用を供与して行ういわゆる「後払い」の形になりますので、どうしても未回収リスクは付き物です。そのため、商品・サービスの提供をする前に取引先に支払いを求める「事前決済(前払い)」を決済手段の一つとして取り入れることで未払いリスク自体を無くすことができます。

具体的には、新規取引先の初回決済や過去の実績から未払いリスクの高いであろうと予測される会社に対しのみ、事前決済を取り入れることが有効といえます。

しかし、上記で挙げた2つの対策を講じてリスクを軽減できることに成功しても、必ずしも自社の努力だけで未回収リスクをゼロにできるわけではありません。取引先の突然の倒産や支払い遅延によって自社が損害を被るケースはどうしても発生してしまいます。また支払い方法の変更についても、取引先に手間をかけさせることへの不安から前払い導入に踏み込めないケースも考えられます。

そこで、売掛金未回収リスクや煩雑さをゼロにするために「決済代行サービス」を利用するのが有効です。これは企業が行う商取引における与信管理から請求管理までを代行し、売掛金未回収リスクを軽減するためのサービスです。

ヤマトクレジットファイナンスが提供する決済代行サービスの「クロネコ掛け払い」は、時間や労力を費やす「与信管理」から代金請求・請求書発行などを行う「請求管理」、更には入金遅延が発生した際の「督促業務」まで商取引における決済全般業務をまるごと代行するサービスです。

たとえば新規顧客と商取引を行いたい場合、その会社について申請をいただくだけで最短5分で与信審査結果を返答します。与信限度額についてもあらかじめ設定されているため、限度内であれば売掛金未回収リスクはゼロです。もし未回収が発生したとしても、ヤマトクレジットファイナンスがその金額を100%保証するため、顧客側の支払い状況によらず期日通り売掛金が支払われるのです。

与信管理や請求管理を徹底することで売掛金未回収リスクを軽減することはできます。しかし、そこに費やす時間や人件費などを考慮すれば「クロネコ掛け払い」のような決済代行サービスを利用する方が圧倒的低コストかつ低リスクで商取引を進めることが可能です。

「クロネコ掛け払い」ご導入によって、今まで取引を断らざるを得なかった新規や遠方の会社との取引が可能になり、売上が上がった例や、売掛金の100%保証により会社としてのリスク管理を充実させた等の成功実績も多数ございます。

もしも皆様の会社が売掛金未回収による問題で頭を悩ませているのであれば、ぜひ「クロネコ掛け払い」をご検討ください。ヤマトグループが責任を持って貴社の決済業務を管理し、リスクゼロの安全かつ安心な商取引を支援します。

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