経営戦略の柱としてEC事業を展開している企業が徐々に増えています。ECサイトでは実店舗のようなサービス性はないものの、中間マージンがかからないことで低コストでの商品提供が可能であり、かつ地域を選ばないため販路が大幅に拡大できるメリットがあります。
本稿で解説するのはそんなEC事業の利益拡大を狙うにあたって、気を付けていただきたいポイントについてです。EC事業における基本戦略から、業務効率の向上を実現するためのポイントまでを解説します。
ポイント1:ECモール展開で売上を最大化
EC事業での売上を最大化するためにはまずアクセス数を何倍にも増やさないといけないのですが、独自のECサイトだけではそれが難しい傾向にあります。なぜなら、多くのEC利用者がGoogleやYahoo!といった検索エンジンで商品を探すよりも、Amazonや楽天市場といったECモールで直接商品を探すことが多いからです。
米国の金融サービス会社であるRaymond Jamesの調査によると、米国人ユーザーは何かを購買する際に、Googleを使用して検索する割合が大幅に減少していると報告されています。2014年には55%だったのが2016年には26%と半分以下の水準になっています。
一方Amazonを通じて検索する割合はこの2年間で大幅に増加しており、2014年の38%から2016年には52%に上昇しています。さらに、18歳~29歳の米国人のうち63%はAmazonで商品を検索するのに対して、21%はGoogleで検索しているなど、商品検索におけるプラットフォーム利用率はAmazonがGoogleを圧倒しています。
この傾向は米国だけでなく世界中で見られているもので、日本でも商品検索においてGoogleよりもAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングを利用するユーザーが増えているでしょう。これはつまり、EC事業の売上を最大化することにおいてECモールは完全に無視できない存在になっているということです。
ただし、ECモールへ出店するにあたって注意すべき点もあります。それが「差別化を図りづらい」ことと「ECサイトの管理コストが増加する」ことです。また、「お客様の詳細な情報などを取得できない」点も大きなデメリットになります。
ECモールでは各ECサイトの商品がショーケースのように並んでいて、ユーザーにとっては比較検討がしやすい設計になっています。商品はすべて同じように表示されるので差別化が難しく、価格やポイント付与といった要素で選ばれるケースが多々あります。
さらに、ECサイトを別で出店するということは単純に考えて管理コストが2倍に上がります。複数ECサイトで在庫情報を共有したり、商品情報登録作業等を効率良く行うために統合管理ツールが必要になる場合もあります。
そして、何と言っても個人情報を取得することが難しく戦略的なプロモーションなどを行うことが困難であるため永続的な顧客接点を求めるのであれば自社運営のECサイトとの併用が必要不可欠になるでしょう。
※ データ分析企業 BloomReachのアメリカ人の購買習慣に対する分析調査
ポイント2:オムニチャネル化による新しい購買体験
ここ数年で一気に知名度を高めてEC事業戦略といえば「オムニチャネル」でしょう。オムニとは「すべて」や「あまねく」という意味で、チャネルはビジネスにおけるユーザーとのコミュニケーション窓口を指します。つまりオムニチャネルとはすべてのチャネルを統合的に管理して、今までないない購買体験をユーザーに提供することです。
たとえばECサイトで購入した商品を実店舗で受け取れたり、店舗に無い商品をその場でECサイトから購入出来たり、店頭で購入した商品をインターネットで返品作業ができたりなどが該当します。この他ソーシャルメディアとの連携など、あらゆるチャネルを含めて統合環境の構築がオムニチャネルです。
オムニチャネルを実現するためにはすべてのチャネルにおいて在庫情報を一元管理できるデータベースを構築したり、システム面での対応が必要になります。また、EC事業担当者個人で推進できるものではないので、組織全体で推進していくものです。
ポイント3:越境ECで海外ユーザーに日本商品を訴求
近年、市場が急速に拡大しているのが「越境EC」です。越境ECとは海外在住のユーザーに向けて日本の商品をECサイトで販売するという戦略で、EC事業拡大に向けて戦略の1つとして重要な位置づけにあります。東京オリンピックが開催される2020年にはインバウンド需要がピークに達するという予測があるため、なおのことEC事業によって海外ユーザーに日本商品をアピールすることに注目が集まっています。
日本の商品は「Japan Quality」として高い品質が人気を集めており、中国ではMade in Chinaでも日本向け製品ならよく売れるというほどです。日本が古くから築いてきた文化も世界に浸透してるため、越境EC事業を展開するタイミングとしては絶好でしょう。
ただし、越境ECで成功している企業は一握りです。特に中国市場は「越境ECの鬼門」とされています。
中国ではGoogleの利用が規制されているため、日本やその他海外で展開しているマーケティングが通用しません。中国で最も利用されている検索エンジンは「百度(バイドゥ)」です。さらに中国人が利用するECモールに関しても「天猫(T-mall)」や「京東(ジンドン)」といった日本ではまったく利用されていないものなので、マーケティングが難しい傾向にあります。
これに加えてクレジットカードを利用する文化が薄いことから、中国市場向けの越境ECはかなり難易度が高くなっています。しかしこうした課題を1つずつクリアできれば、EC事業を1つの大きな柱として位置づけられることは間違いありません。
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ポイント4:コンテンツマーケティングで自然流入を増加
コンテンツマーケティングとはテキスト記事やインフォグラフィック、動画コンテンツ等を配信することで検索エンジンからの流入数を増やすという戦略です。一般的には企業ブログを開設して、定期的にコンテンツを投稿することで検索結果の上位にヒットするように高品質なコンテンツ配信を目指します。
コンテンツマーケティングを展開するにあたって、企業ブログ運営担当者を別に配置して、計画的なコンテンツ配信を行う必要があるためワークロードは増えます。さらに、コンテンツを大量に蓄積していくことで効果を最大化できるマーケティング戦略なので、即効性が低いという難点もあります。
しかしながら、一度コンテンツマーケティングで高い流入数を獲得すれば長期間にわたってユーザーを集め続けてくれるので、中長期的にはかなり効果の高い戦略です。また、訪問者が納得するコンテンツを提供すれば、いずれファンになり高いロイヤリティを獲得できることでしょう。
インターネットの世界において見つけてもらい、訪問してもらうことは最も重要なことです。そのためにコンテンツマーケティングに力を入れることは重要なことと言えるでしょう。
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ポイント5:決済代行サービスで請求業務を効率化
最近ではBtoB(企業間ビジネス)向けのECサイトを展開する企業も増えています。その際に大きな負担になるのが請求管理業務です。BtoC(対消費者ビジネス)向けのECサイトとは違い、BtoBでは請求書が必要不可欠です。そのためEC事業者は、掛け売りに対応する必要があるだけでなく、売掛金を管理したり支払期日が近づけば請求書作成・送付をしたり、支払期日が過ぎた案件に対しては督促を行ったりとワークロードの大きい業務です。
そこで決済代行サービスを利用すると、請求業務を一気に効率かし余ったリソースをEC事業戦略に集中することができます。
ヤマトクレジットファイナンスが提供する「クロネコ掛け払い」は、企業の請求業務をワンストップで代行するサービスです。取引先の与信調査から売掛金管理、請求書作成と送付や督促まですべてヤマトグループが代行します。さらに、期日までに支払いが無かった場合はその代金を100%保証するため、与信リスクゼロで取引できるのも大きな特徴です。
まとめ
いかがでしたか?運営を行う人材は有限であり、企業はより戦略的な人材配置を効率的に行うことが重要視されています。そのため、EC事業拡大を図る際は、新しい戦略を取り入れるだけでなくクロネコ掛け払いのようなサービスを利用して、従業員がEC事業戦略に集中できる環境を整えることもご検討ください。
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