与信審査とは?その重要性とやり方について

 2024.09.05  ヤマトクレジットファイナンス株式会社

いきなりですが問題です。利益率10%の取引において、1,000万円の焦げ付き(代金未回収)が発生すると、その代金を取り戻すためにいくらの売上が必要でしょうか?

答えは1,000万円÷10%で「100,000,000円(1億円)」です。1億円もの売上をあげるには並大抵ではない時間と労力がかかってしまうため、会社としては大きな打撃を受けることになります。

企業同士の取引、いわゆる掛け払いにおいて、販売する側には常に焦げ付きのリスクがあります。たとえ契約書を交わしたとしても、信用だけで成り立っている取引なので確実に代金を回収できる保証はどこにもありません。ゆえに企業はそのリスクを管理(リスクマネジメント)する必要があります。

そうしたリスクマネジメントを「与信管理」と呼びます。つまり、取引先の信用を管理するという意味です。

本稿では与信管理に欠かせない「与信調査」の基礎知識と、その方法について解説していきます。

与信調査とは?

取引先(特に新規顧客)が売掛金を期日通りに支払ってくれる企業かどうかは、販売側が見極める必要があります。たとえば取引先の経営が立ち行かなくなり代金回収が難しくなった場合、いくら「契約書を交わしただろ!」といって入金の催促を行ったとしても、無いお金は払えないという状態になってしまうのです。

こうした最悪の事態を避けるために大切なのが「与信調査」です。取引先が信用するに値する企業かどうかをさまざまな方法で調査します。

早速、その与信調査のポイントを解説します。

与信調査のポイント

与信調査ポイント1:安心安全に取引ができる取引先の理想像を決める

企業同士の取引において最も大切なのが信用です。信用があるからこそ、お互いに安心した取引を安全に進めることができます。従って販売側としては常に安心・安全な取引が行える企業と関わりたいものですが、世の中にはそうではない企業も存在します。後者の企業との取引を避けるためにまず欠かせないことがあります。それは、取引先の理想像を決めることです。

どのような企業なら安心して取引ができるのか?売上高の最低ラインは?など、いわゆる与信基準を決めていきます。ただし、製造メーカーやソフトウェアベンダーなど業種ごとにビジネスモデルも大きく変わるので、取引先の理想像の基準も変わってきます。

その点を踏まえて、自社にとって理想の取引先とはどうのような企業なのかを定義することが最初のポイントとなります。

与信調査ポイント2:営業部門とは別に与信管理部門を設置する

与信調査を営業部門が兼任しているケースもありますが、それは理想ではありません。なぜなら、営業部門の第一使命は「売上を立てること」であり、与信調査をはじめ、リスクマネジメントをすることが本業ではないからです。
そのため、売上ファーストや業務負荷軽減の為に甘い審査基準を設けている企業もあり、それによって焦げ付きリスクが増大してしまいます。特に、上層部から常に営業成果の圧力をかけられているような組織では、与信基準などあってないようなケースも散見されます。

リソースに余裕があれば、営業部門と与信管理部門は必ず切り離し、厳格な基準を設けることをおすすめします。

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与信調査ポイント3:徹底した情報収集で取引先を分析する

取引先の与信調査を実施する際には、まず多様なデータを収集する必要があります。このデータは、取引先を分析するためにとても大切で、一般的に次のような情報を取得します。

  • 登記関連(不動産・債権譲渡・動産譲渡など)
  • 基本的な会社概要(企業規模、資本金、事業内容など)
  • 決算書記載の情報(賃借、損益、キャッシュフローなど)
  • 経営者および役員に関する情報(人物像や経歴など)
  • 将来的な事業計画(拡大、縮小、投資など)
  • 新規取引先が希望する与信金額

一部の情報はインターネットを通じて簡単に入手できますが、情報の種類によっては取引先から直接入手したり、調査会社に依頼する必要があります。自社の与信調査においてどういった情報が必要かを定義しておくことで、効率良く情報収集を行うことができるでしょう。

与信調査ポイント4:情報を定量データと定性データに別けて判断する

収集した情報をもとに与信調査を行うには、まず定量データと定性データに別けて物事を判断する必要があります。

定量データ

財務諸表上の情報や会社の基本情報など、数値で表すことができる情報を定量データと呼びます。新規取引先企業の現状を把握するためには欠かせない情報であり、基本的には定量データを元にして与信調査を実施していきます。

定性データ

定量データに対し、数値では表せない情報を定性データと呼びます。取引先の成長性や経営者の人格、あるいは将来的な事業計画など、いわゆる取引先の今後の可能性を評価するための情報です。しかし、定性データだけでその取引先の信用を判断することは危険ですので、必ず定量データと合わせて判断することが大切です。

さらに、これらの情報は下記2つの評価軸から信用を判断することで、より正確な与信調査を実施することができます。

絶対評価

事前に定められた与信基準に沿って、取引先の信用を判断するための評価軸です。事前に定めた目標値に対して、どれくらいの達成率かを分析します。

相対評価

取引先の信用を客観的に判断する方法です。取引先が属する業界の自社取引先と比較し、どれくらい信用できるかを判断します。

このように、異なる観点で情報をとらえ、2つの評価軸から信用を判断することで、より精度の高いリスクマネジメントを実施することができます。

与信調査ポイント5:継続して取引のある企業にも与信調査を

与信調査においてもう1つ大切なポイントが、新規取引先だけでなく既存取引先に対しても定期的に与信調査を実施することになります。新規取引先ほどの徹底した情報収集は必要なくても、既存取引先の経営状況は刻一刻と変化していきます。それが悪化しないとは限らないため、定期的に与信調査を行うとよいでしょう。

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与信調査に大切なこと

与信調査において大切なことは、営業部門のリスクマネジメント意識を高めることです。取引先との直接的な窓口になる営業部門の判断は与信調査に大きな影響を与えます。

「何としてでも売上を立てたい!」と思っている営業担当の場合、取引先を過大評価する傾向にあるため、当人のリスクマネジメント意識を高めないと焦げ付きリスクを増大させる原因になってしまいます。

そこでおすすめの施策は「与信調査マニュアル」を作成し、与信基準や与信調査のプロセスを細かく定義して社内で共有することです。与信調査マニュアルがあることで営業部門も厳格な与信調査を行いやすくなり、自然とリスクマネジメント意識が高まります。また、リスクマネジメントに関する勉強会を自社で開催したり、外部のセミナーに参加してもらうのも効果的です。

しかしながら、与信基準には多少の遊び部分を残しておくことも大切です。あまりにもガチガチな審査基準でのみ判断してしまうと、実際には取引に問題がない企業も審査NGとしてしまい、機会損失を生んでしまいます。厳格ではあるものの多少の主観も取り入れられるような与信マニュアルを作成することをおすすめします。

以上のポイントを踏まえて与信調査を実施することで、より安心で安全な取引を行うことができるでしょう。

しかし、いざ新たに自社で与信調査を行うとなると、かなりの業務負担が発生してしまいます。業務負担をかけずに与信調査を行いたい!そのような場合には、弊社が提供する「クロネコ掛け払い」をぜひご検討ください。

クロネコ掛け払いは、企業間における請求業務をすべて代行するBtoB(企業間)決済サービスです。新規取引先の与信調査から請求書発行、集金、入金管理および督促、未回収リスク保証まで、ヤマトクレジットファイナンスがすべてを引き受けます。

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