中国電子商取引法の改定で何が起きるのか?その基本を解説

 2019.04.16  ヤマトクレジットファイナンス株式会社

国境を越えて商品やサービスを販売する「越境EC」。メイドインジャパンの高品質・低価格な商品は中国で高い人気を集めており、日本にとって中国は越境ECにおけるビッグマーケットの1つとなっています。そんな中国において、2019年1月「中国電子商取引法」が施行されました。

本法によって、日本のEC事業者はどんな影響を受けるのでしょうか?今回は、中国電子商取引法の基礎について解説します。

中国電子商取引法とはどんな法律?

中国のEC業界は近年、急速な成長を遂げています。しかしその一方で、偽物商品の流通が指摘されることも多く、それが社会問題にまで発展しています。さらに、ECプラットフォーム事業者と当該プラットフォームに出店するEC事業者の法的関係性や、これらの事業者が消費者に対してどのような法的責任を負うのか、という点は明確ではありませんでした。

こうした事情を背景に、全国人民代表大会常務委員会(中国における最高国家権力機関および立法機関)は、2013年に電子商取引法の立法作業に着手し、数年間にわたり検討を続け、2018年8月31日に中国電子商取引法を成立させました。そして、2019年1月1日に施行されたという流れになります。

中国電子商取引法3つの特徴

本法の特徴を、分かりやすく3つのポイントで解説します。

1.営業許可証の取得と納税義務

中国電子商取引法の適用範囲とは、微信(WeChat:SNS)を利用して商品販売を行う「微商(Weishang)」や、外国で買い付けした商品を転売する代理購入者などをはじめとする、インターネットを活用して商品を販売するすべての事業者・個人が対象になります。

資料ダウンロード

そのため、これまでは監視対象ではなかった個人のECビジネスに関しても、営業許可が求められるようになり、納税義務が生じます。脱税した場合は刑事責任を問われます。

2.ECプラットフォーム事業者に厳しい責任

中国電子商取引法の特徴として最も注目すべきポイントは、天猫(Tmall)、京東商城(JD.com)などの大型ECモールサイトを展開する「電子商務プラットフォーム経営者」に対して厳しい義務を課している点です。

たとえば消費者の生命や健康にかかわる商品・サービスに関しては、電子商務プラットフォーム経営者が出店者の資質や資格について理解せずに、消費者に損害を与えた場合、消費者に対する安全確保義務を怠ったとして、電子商務プラットフォーム経営者がその責任を負うことになります。

さらに、知的財産権を侵害していたり、模倣品を販売している出展者を放置した場合、日本円にして約800~3,200万円の制裁金が課せられることになります。このように、電子商務プラットフォーム経営者側に重い責任を課すことにより、悪質な出展者を市場から追い出すことができ、結果的に消費者が護られる仕組みを作っています。

ちなみに、電子商務プラットフォーム経営者は、消費者が書き込んだ商品やサービスに対する評価を削除することが認められなくなり、表示される取引数を水増ししたり、消費者を装って高い評価を書き込んだりといった行為が禁止されています。

3.中国語での商品説明必須

食品類を代理購入する場合、食料流通の許可を申請する必要があります。中国語の商品説明が無く、国家認証および認可管理機関によって生産されておらず、成分登録証明書の無い粉ミルクなどをオンラインで販売することが禁止されています。

2005年前後に中国では代理購入が盛んになり、2008年には中国国産の毒粉ミルク事件により、幼児のいる家庭での代理購入を通した海外産粉ミルクの購入増加期に、代理購入ビジネスが盛んになったことから上記のような条例が策定されています。

ECプラットフォーム事業者、EC事業者の義務

中国電子商取引法についてより深く理解していただくために、ECプラットフォーム事業者とEC事業者の義務について整理しました。

ECプラットフォーム事業者の義務

 

ECプラットフォーム事業者の義務

1

ネットワークの安全及び安定的な運営を保証し、ネットワーク上の犯罪活動を防止する

2

ECプラットフォーム上の商品およびサービスに関する取引情報等を記録し、取引終了時から少なくとも3年以上保存する

3

Webサイトのトップページの、分かりやすい位置にECプラットフォームで提供するサービスに関する取引規則等のリンク等を公開したうえで、閲覧およびダウンロードが可能な状態にする

4

ECプラットフォーム事業者がECプラットフォーム上で直営業務を行う場合、直営業務とEC出店事業者の業務を明確に区別し、ユーザーを誤って誘導しない

5

信用評価システムを構築する、ユーザーの評価を削除することの禁止

6

価格競争で検索結果表示の順位を決めている場合(高い金額を支払った者の情報が検索結果の上位に表示される場合)は「広告」であることを明示する

[RELATED_POSTS]

EC事業者の義務

 

EC事業者の義務

1

主体に関する登記、納税義務の履行、関連する行政許可を取得する

2

商品販売およびサービス提供についてユーザーの生命や財産の安全および環境保護に係る必要な条件を満たし、法令で取引が禁止されている商品・サービスを販売しない

3

紙又は電子媒体で発票(領収書)を発行する

4

Webサイトのトップページの分かりやすい位置に、営業許可証や行政許可情報等の情報を継続的に表示する

5

EC事業を終了しようとする場合、遅くとも終了30日前までに関連する情報をWebサイトのトップページの分かりやすい位置に継続的に掲示する

6

商品およびサービスにかかる全面的な情報を開示し、ユーザーの知る権利や選択する権利を保障する

空の取引やユーザー評価の捏造等によって虚偽または誤解を与えるような商業宣伝や詐欺、ユーザーを誤導する行為の禁止

7

ユーザーの趣味嗜好・消費習慣等に基づき商品およびサービスの検索結果を提供する場合でも、ユーザー個人の特性にあったもの以外の選択肢も同時に提供する

8

抱き合わせ販売を行う場合は、分かりやすい方法でユーザーに注意喚起しなければならない

9

期限内にユーザーに商品・サービスを提供し、かつ、商品輸送中のリスクと責任を負担する(ユーザーが配達業者を別に指定した場合は除く)

10

ユーザーから提供を受けた保証金(中国語:押金)の返還方法や手続を明示すること、保証金返還において不合理な条件を課さない

11

技術的優位性、ユーザー数、業界に対するコントロール能力等の要因によって市場で支配的な地位を得ている場合に、市場支配的地位を濫用する行為や、競争を制限する行為の禁止

12

ユーザーの個人情報を収集し、使用する場合、個人情報保護に関連する法令の規定を遵守する

13

ユーザーに対して個人情報の検索、更新、削除および登録取消しの方法と手順を明示する

14

政府の関連する主管部門から、法令に基づいて関連するECデータの情報を提供するよう要請があった場合には、同要請に応じる

15

越境ECを行う場合は、輸出入監督管理等の関連法律・法規を遵守する

16

ECに関連する紛争の処理において、元の契約や取引記録を提供する

これらの資料を紛失し、または毀損する等によって、人民法院または仲裁機関等による法的事実の究明が不可能となった場合、相応の法的責任を負う

 

中国市場向けに越境ECを展開しているEC事業者やこれから中国に展開する事業者のかたは、必ず中国電子商取引法をチェックし、自社が負う責任等について確認するようにしましょう。

クロネコ掛け払いご紹介資料

EC業界のトレンド7選
クロネコ掛け払いご紹介資料

RELATED POST関連記事


RECENT POST「トレンド」の最新記事


中国電子商取引法の改定で何が起きるのか?その基本を解説
New Call-to-action
New Call-to-action

RANKING人気記事ランキング

RECENT POST 最新記事

ブログ購読のお申込み
ヤマトフィナンシャル