請求書を発行する際は、必ず支払期日についての記述をします。顧客から正確な入金を行ってもらうためには、支払期日などの細かい条件も記載しておくことが大切です。では、支払期日はどのように決められているのでしょうか?
本稿では、支払期日の決め方やその他基本的事項についてご紹介します。
支払期日はどうやって決める?
製品やサービスに対する代金の支払期日はその取引によって違います。一般的な例としては月末締めの翌月末払いか、翌々月末払いが多いでしょう。ただし、支払期日を末日に設定しなければいけないという決まりはないので、支払期日は取引ごとや企業ごとに違うのが一般的です。
ただし支払期日がバラバラだと、支払う側も対応に苦労するため、請求書を定期的に送付するような顧客に関しては、一定の間隔で支払期日がくるよう設定します。
ちなみに、翌月末払いや翌々月末払いといった、最低でも60日以内に支払いを行うという一般常識は「下請代金支払遅延防止法」に起因しています。同法は下請け業者の利益保護と取引適正化を推進するために運用され、下記のような条例があります。
下請代金支払遅延防止法
下請代金の支払期日を定める義務 |
下請代金の支払期日について、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から60日以内で、かつ出来る限り短い期間内に定める義務。 |
遅延利息の支払義務 |
支払期日までに支払わなかった場合は、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)の60日後から、支払を行った日までの日数に、年率14.6%を乗じた金額を「遅延利息」として支払う義務。 |
受領拒否の禁止 |
下請事業者に責任がないにもかかわらず、給付の受領を拒むこと。 |
下請代金の支払遅延の禁止 |
支払代金を、支払期日までに支払わないこと。 |
支払期日について翌月末払いや翌々月末払いが一般的だと考えられているので、自社都合によって支払期日を月中などに設定する場合は、取引の際にその旨をしっかりと伝えて、請求書にも確実に記載していくことが大切です。
売掛金に時効はあるのか?
支払期日を設定する際に気になるのが「支払期日が過ぎたらどうしたらよいのか?」ではないでしょうか。実は、取引で発生する売掛金には時効があります。売掛金の時効は「消失時効」といって、一定期間権利の行使がされなかった場合、その権利が消失してしまうというものです。そのため、売掛金を請求する権利があるにもかかわらず、それを放置したままだとその権利が認められなくなってしまいます。
では、売掛金はどれくらいの期間が経過するとその権利を消失してしまうのでしょうか?
時効期間 |
債務 |
1年 |
飲食代、宿泊費、運送費 |
2年 |
製造業・卸売業・小売業の販売代金、弁護士報酬 |
3年 |
医療費、工事の設計、施行などの工事代金、自動車修理費 |
5年 |
記以外の取引 |
一般的な取引では2年間、売掛金に対する請求がないと時効になり、請求に対する有効性が認められなくなってしまいます。ただし、内容証明を送っておくことで有効期限を最大半年延ばすことが可能になります。
支払期日を過ぎてしまった債権はどうする?
では、支払期日を過ぎた場合、企業はどういった対処をすればよいのでしょうか?下請代金支払遅延防止法では「支給付を受領した日(役務の提供を受けた日)の60日後から、支払を行った日までの日数に、年率14.6%を乗じた金額を「遅延利息」として支払う」という義務があります。しかし、単純な支払いミスによって支払期日を過ぎてしまった可能性もあり、法令通りに対応するとドライな印象を受けて、取引先との信頼関係にヒビが入る可能性もあります。
では、支払期日が過ぎた売掛金に対しては、企業はどういった対応を取ればよいのでしょうか?
1.自社側に問題がないかを確認する
顧客から期日通りの支払いがなかった場合、自社側に問題がある可能性もあります。たとえば請求書に記載した期日が間違っていたり、顧客からのクレームが入っているにも関わらずまだ未対応だったり、いろいろな原因が考えられますので、まずは自社側に問題がないかどうかを確認しましょう。
2.電話で支払いを催促する
自社側の対応に問題が無ければ、簡易的な催促行為を行います。まずは電話にはコンタクトを取りましょう。電話での催促はコストパフォーマンスが高く、かつ確実に催促できます。電話の際は、支払い期日をあらためて設定し、取引先が支払い期日に関する相談を持ち掛けたら良識の範囲で対応します。
3.実際に訪問する
請求が長い間滞っている案件の場合、相手先に訪問するというのも一つの手段です。そのための時間や手間はかかりますが、直接催促をかけられるため効果的です。ただし過度の訪問は立場が逆転する可能性があるため注意しましょう。
4.催促状を顧客に送付する
電話での催促に対して入金が確認できなかった場合は、次に催促状を発行し送付します。内容としては「未収金に対し〇月〇日まで確実な支払いをお願いします」という文面で支払いを催促します。
長い信頼関係にある取引先であったとしても、支払期日が大幅に過ぎている場合は徹底した催促行為が必要になります。
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請求書を発行するタイミングはいつ?
支払期日を記載した請求書を発行することは、支払いを正確に行ってもらうために大切なことです。一般的には納品よりも早い段階で発行することはまずありません。請求書発行のタイミングは納品と同時か、あるいは納品後の支払期日に合わせて発行します。ただし、支払期日ギリギリに請求書を発行するのではなく、支払期日1週間前などに発行し、顧客に送付します。
短期間に複数の取引が行われる場合は代金を一括でまとめて請求する「掛け売り方式」を取るケースもあります。掛け売り方式を採用することで取引における効率性を高めることができますが、取引先との信頼関係が無いと成り立ちません。
請求書発行のタイミングは、支払いを請求するタイミングもあるため取引先との関係性などを考慮して決めるようにしましょう。
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請求書発行を効率化するには?
毎月発生する請求書発行業務は、経理部にとって大きな負担になっています。毎月大量の請求書を発行する際は、取引先ごとに請求額を確認したり、支払期日を確認しなければいけません。そこで、請求書発行を効率化するにはどうすればよいのでしょうか?大きくは2つの方法が存在します。
近年利用が増えているのは、請求書発行を効率化するためのシステムを利用することです。特に最近増えているのが「クラウドサービスの利用」です。インターネット経由で経理システムを利用することで、請求書発行を効率化できます。
もう1つの方法としては、請求書発行作業をアウトソーシングするというものです。請求書発行作業や債権管理等を他の会社に委託すれば、その分の負担を軽減することができます。弊社が提供するクロネコ掛け払いはこれにあたります。クロネコ掛け払いは、買い手企業への与信から請求書発行、集金などを代行し、 請求業務の効率化と未回収リスクをなくします。
いずれの方法でも大切なのは、自社にとって最適な簡素化方法を探ることです。どれくらいの負担を軽減すれば生産性が向上するのか、何が課題なのか、そこにかけられるコストはなどを十分に検討することで、自社にとって最適な請求書発行効率化方法を選択しましょう。
「クロネコ掛け払い」サービス概要
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