請求書の保管に関して知っておきたい6つのこと

 2019.10.29  ヤマトクレジットファイナンス株式会社

皆さんは、取引先から日々送付される請求書をどのように保管していますか?取引先が多い企業や事業者の経理担当者の方は、請求書保管に苦慮されていることかと思います。本稿では、請求書保管に関する一般的な常識から、保管作業を効率化する方法をご紹介します。

1. そもそも請求書とは?

請求書とは、取引(商品販売、サービス提供)によって発生した代金を、特定の期日に支払うように取引先に請求するための文書です。経理業務の一環として何気なく請求書を発行している方も多いでしょうが、ビジネスでは取引代金が確実に支払われなければ意味はなく、そのために請求書は大きな役割を果たしています。

まず、請求書は取引先のフォーマットに合わせて作成するのが基本です。取引先が特定のフォーマットを持たなければ、独自に作成します。請求書は「代金の支払い期日が近いですよ」という報告に加えて、「今回の取引ではこの商品を販売(サービスを提供)し、その対価として○○円の代金を頂戴します」という取引内容を確認してもらう役割があります。

請求書の内容が間違っていたり取引先に送付しなかったりすると、請求内容が受理されずに期日通りの支払いが受けられない可能性があります。ビジネスでは将来的に手に入るキャッシュをもとに事業計画を練っていくため、支払期日にズレが生じると事業計画に大きな影響が出てしまいます。

請求書の保管について知る前に、まずは請求書がビジネスにおいてどれほど重要な役割を持っているかを、改めて認識しましょう。

 

2. 請求書の保存期間

請求書は「証憑書類(しょうひょうしょるい)」という文書区分に該当します。証憑書類とは「取引の証拠となる文書」という意味で、領収書や契約書など、そこに何らかの取引があったことで発行された文書を指します。よって、請求書の他にも見積書や納品書も該当します。

ビジネスで証憑書類が発行される理由は、取引契約が口約束ではなく、互いの同意をもって正式に決められたことを示すためです。要するに取引の証明になるような文書なので、間違った内容で作成した、別の取引先に送付してしまったなどのミスが発生すると、取引先はもちろん社内の責任者に余計な手間を取らせることになります。

そして、証憑書類にはそれぞれ「法律による保存期間」が設けられています。主に関係する法律は法人税法、所得税法、消費税法です。保存期間は個人事業主で5年間、法人では7年間となっています。

法定保存期間は請求書などの証憑書類に限らず、あらゆる文書に設けられているため、企業は各文書の保存期間を細かくチェックし、必要な期間保存する義務があります。

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3. 請求書の保存期間の数え方

法定保存期間が設けられている文書には「起算日」という項目が設定されています。言い換えれば、長期保存する文書の保存開始日に関するルールです。請求書の起算日は「帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日(当該事業年度分の申告書提出期限の翌日)」と規定されています。

たとえば9月末決算の企業の場合は、11月30日が確定申告期限日になるため、平成26年10月1日から平成27年9月30日までに発生した請求書の保存期間は、令和3年の11月30日までということになります。

ただし、平成20年4月1日以降に青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことにより、欠損金の生じた事業年度においては証憑書類の保存期間が9年間となります。さらに、平成30年4月1日以降に開始する欠損金の生じる事業年度においては、証憑書類の保存期間が10年になります。

4. 請求書の保管方法

では、受領した請求書や取引先に送付した請求書はどのように保管すればよいのか?請求書の保管方法としては以下3つの方法が考えられます。

紙文書

請求書を含むすべての証憑書類は原則として紙文書で5年ないしは7年の保管が必要です。システムを利用した取引であったとしても、原本を紙に印刷して保管する必要があるので注意しましょう。

マイクロフィルム

マイクロフィルムとは、書籍や新聞、設計図面などの保存に使用する写真フィルムのことです。歴史的な文献などの重要な書籍などの原版を汚れや破損から予防する目的や、資料館など限られたスペースで膨大な資料お効率的に保管する目的で用いられています。請求書は一定の要件を満たすことでマイクロフィルムでの保管が認められており、規定に沿ったマイクロフィルムリーダー及びマイクロフィルムリーダープリンターの設置が必要です。ちなみに、マイクロフィルムとして保管できるのは法定保存期間の最後の2年間(法人の場合は6年目と7年目)になります。

電子データ

EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換システム)などの普及により、電子的な取引が増えたこともあり、紙文書での保管負担を軽減するために要件を満たすことで磁気テープや光学ディスク(CDやDVD)、ハードディスクへの保管が認められています。電子データとして請求書を保管するには、電子帳簿保存法へ準拠し、税務署長の承認が必要です。

5. 請求書発行日と発行

請求書の「発行日と発行」を同一視している方も多いでしょうが、実は違います。多くの経理担当者は請求書の発行日を「発行した日」で記入しているものの、一般的には取引先の締め日に合わせて発行日を記入するのが正解です。

たとえば4月30日が取引の締め日だとすれば、発行した請求書の発行日欄には4月30日と記載します。請求書を発行した日時が締め日の後だとしても、締め日で設定するのが通常です。ただし、企業間取引には2つの方式があり、それによって発行日も変化します。

 

都度方式

取引が発生し、商品を納品したりサービスを提供したり度に請求を行います。取引の都度請求するため、会社の資金繰りがコントロールしやすいのがメリットです。ただし、請求業務を1度にまとめられない手間があります。

掛売方式

取引が月に何度も発生する場合や、毎月定常的な取引がある場合は請求を一括でまとめて請求することが多いでしょう。請求業務を1度にまとめられる効率性はありますが、取引先との関係性や信頼性、さらに会社の資金繰りなどを考慮することが大切です

さらに、発行日の決定は取引先との協議によって決定する場合もありますので、事前の確認を怠らないようにしましょう。

 

6. 消費税の納税義務者

先ほど、個人事業主の場合は請求書を5年間保存する義務があると説明しましたが、例外があります。消費税法により、消費税の納税義務者は7年間の保存期間が定められているため、このような場合では保存期間が長い方の法律が優先的に適用されます。従って、個人事業主であっても消費税の納税義務がある場合は、請求書を7年間にわたり保管する必要があるのです。

意外と奥が深い請求書の世界

ビジネスにおいて重要な請求書、その情報を知っているのといないのでは会社への貢献度が違ってきます。また、会社には請求書以外にも様々な種類の証憑書類が存在します。ぜひ、この機会に各文書の目的や役割について理解してみてはいかがでしょうか。

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