経理担当者に知って欲しい!請求漏れを防止するための5つの工夫

 2019.03.25  ヤマトクレジットファイナンス株式会社

他社に商品やサービスを販売した際に、自社に生じる請求権利を「売掛債権」といいます。この売掛債権を正しく履行し、売掛金を回収することで経営が成り立っています。しかし売掛債権の中には請求書を送り忘れてしまったり、長い間入金確認が取れていなかったりするものもあるでしょう。ではそうした場合、事実が発覚した時点で請求書を送信することはできるのか?売掛債権に時効はあるのでしょうか?

答えは「売掛債権には時効がある」です。売掛債権は2年を経過すると「消失時効」となり、2年以上前の請求忘れの場合は法律的に時効が成立しているので売掛債権が消失したことになります。請求自体は可能ですが、消失時効となった売掛債権に応じるかどうか相手先の判断によります。

こうしたケースの中には「売掛金回収はできていないけれど、請求書は毎月送っているから消失時効にはなっていないはずだ!」と主張する方もいます。しかしながら、通常の請求行為は法的手段ではないため2年を経過するとやはり消失時効になり、時効の中断は裁判上で行う手続きが必要になります。ちなみに消失時効までの期間は取引内容によっても異なるので注意しましょう。

一度時効になってしまった売掛債権の時効を中断するためにはいくつかの方法がありますが、いずれも裁判上の手続きが必要になるので手間とコストがかかります。そうした事態を防ぐためには、請求漏れをなくすための対策を日常的に行うことが大切です。本稿ではその対策についてご紹介します。

請求漏れを防止するための5つの対策

対策1. 請求予定を都度管理する

請求予定を管理するためには管理台帳をExcel等で作成するのが小規模企業では一般的ですが、管理するタイミングが重用になります。ベストなのは受注したタイミングであり、月末にまとめて行おうとすると、メールを遡ったりするなど確認の手間が増え、請求漏れが発生するリスクがあります。なので請求書を発行するような案件が発生したタイミングで管理台帳に記録するのが良いでしょう。

もしも請求予定日が変更になった際は案件一覧から更新することを忘れてはいけません。Excel等で管理する場合、月ごとにシートを分けるケースが多いでしょうが、それでは後々面倒が起こります。すべての案件を1つのシートで管理し、代金回収が完了した案件を別のシートに移すといった方法がよいでしょう。

対策2. 発行済み請求書を管理する

先の方法で管理した案件一覧を使って請求書を発行したかどうかを管理するのも大切な対策です。請求書を発行したら案件一覧にて「請求済み」と記入し、そうすることで一覧チェックの際に請求漏れを一目で確認することができます。請求済みの記録は後から行うのではなく、請求書を発行して封入したタイミングやメールで送信した都度行うのがよいでしょう。

対策3. 未回収の売掛債権を管理する

前述のとおり、未回収の売掛債権は2年間を経過する消失時効になります(一般的な取引の場合)。場合によっては内容証明を送信しないといけないですし、時効中断には裁判上の手続きが必要になるため未回収の売掛債権は常に管理することが大切です。

請求書発行の際に支払期限を記入するので、その内容を案件一覧にも記入しておきます。もしも支払い期限までに入金が確認できなかった場合は、次のような方法で取引先にコンタクトを取ります。

電話で請求する

一番手軽でダイレクトに請求できる方法です。債務者に多少なりとも支払う意思があれば必ず対応しますし、具体的な支払いプランを聞くこともできます。電話での話し合いができたら必ず期日を24時間以内に設定し、それでも支払いが無ければ再度催促を行います。

請求書発行

正式な請求書を発行・送付するのは債権者にとっても精神的負担が少なく、かつ債務者に認知してもらう方法の一つです。あまりにも支払いに応じない場合は内容証明付きで請求書を発行します。

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実際に訪問する

請求が長い間滞っている案件の場合、相手先に訪問するというのも一つの手段です。そのための時間や手間はかかりますが効果的です。ただし過度の訪問は立場が逆転する可能性があるため注意しましょう。

公正証書

公証人役場で公正証書を作ってもらうと、そこに書かれているとおりに支払いをしなかった場合、裁判なしでいきなり強制執行ができるようになります。公正証書を作成するためには、債権者の実印付き委任状や印鑑証明が必要です。

対策4. 請求書管理ツールを導入する

コストはかかりますが、簡単かつ効率良く請求漏れを防止するためには請求書管理ツールを導入するのも1つの手段です。請求書管理ツールとは取引内容に応じて見積書や請求書を作成したり、作成した帳票をツール上でそのまま管理したりするためのものです。一般的な請求管理ツールには請求時期に応じて請求業務の必要性を通知する機能が備わっているので、毎回案件一覧を確認せずに請求漏れを防止することができます。

最近ではクラウドサービス型の請求管理ツールが人気であり、サーバーやパソコンにソフトウェアをインストールせず気軽に利用できることから、中小企業でも導入が拡大しています。また、ERPなどの導入も様々なメリットがあるためおすすめです。

対策5.請求代行サービスを利用する

請求書管理ツールのように効率良く売掛債権を管理するためのツールを導入したいけれど、ITにはちょっと疎い、利用するのが面倒だと考えている方には請求代行サービスの利用をおすすめします。サービス範囲は提供事業者によって異なりますが、一般的には企業間取引における請求業務を企業に代わって代行するというものです。

請求業務のみを代行するサービスもあれば、取引が発生した時点から入金確認までの一連の業務を代行するサービスもあります。自社が請求管理業務において、どれくらいの業務範囲をアウトソーシングしたいかを明確にして適切なサービスを選択しましょう。

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万が一、売掛債権が消失時効になってしまったら…

あまりあってはならないことですが、日々のビジネスの中で売掛債権が消失時効になってしまった場合に経営者本人に代金請求を行っても意味はありません。その理由は「経営者と法人格とは別もの」であり、企業に対する売掛債権に経営者本人がいち個人として対応する義務はないからです。だからこそ売掛債権は常に管理し、請求漏れを防止することが大切です。その中で消失時効になってしまった売掛債権はあきらめるか、あるいは次の方法で請求を行います。

・訴状の提出

時間と手間はかかりますが訴訟を起こすことで、訴状が提出された時点で時効が中断します。

・支払い催促

債権者が契約書や債務確認書といった証拠品を持参し簡易裁判所に申し立てると中断できます。

・調停申し立て

調停委員会が当事者の言い分を聞き、必要ならば事実調査を行い、条理にもとづいて当事者双方の歩み寄りを促し、当事者の合意によって解決を図る手続きです。

・即決和解申し立て

裁判所を通さず訴状提出前に和解を行うことです。余計な費用はかかりませんし、和解がうまくいけば時効が中断します。ただし、和解したその日から1ヵ月以内に訴状の提出をしないと時効中断の効力が無くなります。

・催促書類の提出

裁判になる前に「返済してほしい」という内容の書類を債権者から債務者に向けて、内容証明郵便で送付することで一時的に時効を中断できます。

いずれの方法でも手間とコスト、それと時間も大量にかかるので、可能な限り適切に請求書を管理して請求漏れを防止していきましょう。

また、クロネコ掛け払いを利用いただければ、面倒な請求処理の全てをヤマトクレジットファイナンスが行います。代金の保証も弊社で行いますのでご興味がございましたらお声がけいただければ幸いです。

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