ビジネスで欠かせない文書である請求書。この発行日と、発行のタイミングについて悩む方が多いようです。そもそも請求書は、将来的に支払われる予定の売掛代金に対して、正しい代金や振込先等を記載し、期日通りの支払いを促すための文書です。請求書を発行しなければ代金が市は割れないわけではありませんが、取引をスムーズに完了させるために必要不可欠です。
本稿では、請求書発行に関する基本事項と、発行担当者が押さえておきたい請求書発行の常識についてご紹介します。基本や常識を押さえているか否かで、相手先からの印象が大きく変化するので、ぜひ参考にしてみてください。
請求書はいつ発行する?
まずは請求書の発行日について説明します。多くのビジネスパーソンは、請求書の発行日を作成した日時で記していますが、これは適切ではありません。まず、発行と作成は意味合いが異なります。
発行の意味は「図書や新聞、雑誌などを印刷して世に出すこと」であり、請求書に置き換えると請求先に提出する寸前に印刷するか、PDFファイルとして出力することを意味します。一方、作成の意味は「書類や計画、または文章などを作ること」ですので、発行するかどうかは問いません。
ビジネスパーソンによって請求書の作成を支払い期日よりも前に行うことも多く、発行日の欄をそのまま作成日で記入するケースが見受けられます。そもそも発行日を記入しないという方も多いでしょう。しかし、請求書の発行日は入金の際に重要な情報になることがあるため、適切に記入することが大切です。
請求書の発行日は、一般的に相手先の締め日に合わせるのが基本です。締め日によって会計の経常月が変化する場合がありますので、その点は相手先にしっかりと確認を取った上で発行日を決定するのがポイントです。
先月の取引に関しては月初に請求書を発行・送付し、振込などによる入金をその月末日に行うパターンが多いでしょう。翌々月に請求する場合は、翌々月の月初に送付することになります。請求書の発行日は決して作成日にするのではなく、請求書を実際に発行する月初や相手先の締め日に合わせて記入しましょう。
請求書を発行・送付するタイミング
次に請求書を発行・送付するタイミングについて説明します。請求書は商品やサービスの提供に伴い発生した売掛代金に対し、その期日に合わせて支払いを促すための書類です。なので、受注したタイミングや納品よりも早い段階で請求書を発行することはまずあり得ません。
一般的な請求書の発行及び送付は、納品と同時、もしくは納品が行われた後になります。ちなみに企業間取引では都度方式と掛売方式という2つの請求方法があり、それぞれに請求書発行のタイミングが違います。
都度方式
取引が発生し、商品を納品したりサービスを提供したり度に請求を行います。取引の都度請求するため、会社の資金繰りがコントロールしやすいのがメリットです。ただし、請求業務を1度にまとめられない手間があります。
掛売方式
取引が月に何度も発生する場合や、毎月定常的な取引がある場合は請求を一括でまとめて請求することが多いでしょう。請求業務を1度にまとめられる効率性はありますが、取引先との関係性や信頼性、さらに会社の資金繰りなどを考慮することが大切です。
都度方式なら納品やサービス提供のたびに請求書を発行・送付しますし、掛売方式なら取引の締め日から支払い期日までの間(基本的には支払い期日がある月の月初)に請求書を発行・送付します。ただし、会社の規定や取引先との関係によってはこの限りではないため、改めて自社の請求書発行ルールを確認するか、ルールがまだ策定されていない場合は適切なルールを考えることをおすすめします。
請求書発行に関する一般常識
最後に、請求書の発行担当者に知っておいてほしい一般常識をご紹介します。
1.請求書発行の目的
請求書を発行する目的は、「将来的な売掛代金支払いに対して、期日通りに正しい金額が入金されるよう促すこと」です。たとえ請求書を発行したとしても、相手先からの入金がなければ取引は完了しません。しっかりと支払いをしてもらうためには、以下の点に注意する必要があります。
- 入金日を明確にする
- 相手先の担当者を明確にする
- 正しい請求項目を記入する
- 正しいタイミングで送付する
- 入金先の口座番号を記入する
2.請求書発行のルール
請求書発行に関する特別な法的要件はありませんので、基本的には社内ルールに従うことになります。ただし、相手先がどういった請求書フォーマットを希望するかも重要です。原本での送付が基本だったり、請求項目を明確に記入したり、相手先が持つルールに合わせなければならないこともあります。
取引企業が多いとその分請求書フォーマットが増えることになるため、請求書発行を円滑に進めるためにフォーマット管理が大切です。取引先ごとに素早く引き出して使用できるフォーマットを準備しましょう。
3.請求書作成のポイント
請求書を正しく作成するためのポイントは以下の通りです。
角印は押印されているか?
角印は請求書や領収書など、会社が発行する正式文書であることを表すための印です。押印する法的義務はありませんが、角印があるか否かで請求書に対する印象が違います。日本企業は古くから請求書に対して角印を押印しているので、きちんと押印している方が正式な文書という印象を持ってもらうことができます。
請求書在中と記入されているか?
請求書を入れた封筒には必ず、請求書在中と記入しましょう。一目で封筒の中身がわかるので、他の書類に埋もれて開封されないなどのトラブルを防ぐことができます。
消費税の端数はどうなっているか?
消費税は取引金額によって端数が出ることがあります。この端数について、小数点以下を切り捨てるのか切り上げるのか、あるいは四捨五入するのかなどのルールを明確にしておきましょう。一貫性のない方式では信用を損なう可能性があります。
4.請求書への記載事項
請求書を作成するにあたり、基本的な記載事項をご紹介します。
- 社名、部署、担当者名などの宛先
- データ管理上に必要な請求番号
- 請求書発行日(前述した内容に従う)
- 請求書のタイトル(「令和元年5月分ご請求書」など)
- 未収金の繰越の有無
- 支払合計金額
- 商品名と数量
- 支払小計金額
- 消費税額
- 振込先口座情報
- 振込手数料と手数料の処理について
- 支払期限
5.封筒の宛名の書き方
会社宛てに送付する際は、社名の下に御中を記入します。担当部署宛ての場合も部署名の下に御中と記入しましょう。役職や肩書のある相手の場合は社名と部署名を書き、次の行に役職と氏名を順に書きます。担当者宛ての場合は社名と部署名を書き、次の行に氏名を書きましょう。
6.記入漏れや記載ミスのお詫び
請求書に記入漏れや記載ミスがあった場合は、相手先にお詫びの一報を入れたあとに請求書を再発行します。お詫び状を添えて送付するのが一般的であり、再発行である旨を請求書に記載します。
いかがでしょうか?請求書には思っている以上に作成や発行のルールがありますね。ただし、難しいルールではないので、この機会に請求書発行の基本を押さえてより正確な請求書発行を目指していただきたいと思います。
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