ビッグデータの活用とは?

 2020.08.25  ヤマトクレジットファイナンス株式会社

冒頭から申し上げますが、ビッグデータ活用に「明確な定義」は存在しません。なぜなら、企業の数ほどビジネスが存在し、ビジネスの数ほどそこから生まれるデータの種類や量が異なるからです。ただし、ビッグデータ活用とは何なのかを大まかに説明することはできます。数年前からその重要性が叫ばれているビッグデータ、これを活用するとは一体どういうことなのでしょうか?

そもそもビッグデータとは?

ビッグデータの認識として正しいのは、「多様な形をし、多様な性格を持つ、多様な種類のデータ」です。ビッグデータに対して「大量のデータ」と認識している方も多いでしょうが、量が多いだけではビッグデータとは言えません。データの量(Volume)・データの種類(Variety)・データの発生更新頻度(Velocity)という「3つのV」が揃っているとのがビッグデータというのが一般的な定義です。

最近の動向としては、非構造化データをビッグデータとして扱うことが多くなっています。いわゆる「構造化できないデータ」のことで、テキスト・音声・画像・映像などを中心としてデータを指します。これに対し、構造化データとは売上・生産などデータベースで構造的に管理できるデータのことです。

構造化データからは様々なデータを解析することで、経営の今が見えてきます。一方、非構造化データから消費者や顧客企業の行動を分析することにより、消費者・顧客個人が抱えているニーズから、市場全体が持つニーズまで様々な情報を定性的に分析できるのが特徴です。

ビッグデータ活用とは?

数年前に『Does It Matter?:Information Technology and the Corrosion of Competitive Advantage(ITにお金を使うのは、もうおやめなさい)』という書籍がIT業界で大きな話題になりました。著者であり米評論家のニコラスG・カー氏は、本書の中でソフトウェア・ハードウェアなどのICTテクノロジではビジネスの差別化がもはや難しく、ビジネスから生まれるデータに高い価値があると指摘し、ヒト・モノ・カネといった3大経営資産と同等に扱うことの重要性について述べています。

ビッグデータを活用している企業として、真っ先に思い浮かぶのがGoogleやAmazonといった大手デジタル企業でしょう。Googleでは世界的に利用されている検索エンジンやWebサービスから想像を絶するほど膨大なデータを収集し、それを広告ビジネス、Android開発やAI開発など様々な分野へと活用しています。Amazonではサービス利用者のデータを細部まで収集することにより、リコメンデーション(別の商品のおすすめ)を積極的に実施することで売上を大幅にアップしています。

ただし、ビッグデータ活用はこうしたデジタル企業に限った話ではありません。近年では保険会社がGPSデータを収集し、ドライバー個々の運転動向などを解析して、個人に見合った保険料を適用するなどのサービスを開始しています。また、大手航空機エンジン開発会社ではエンジンに取り付けたセンサーから様々なデータを収集・解析し、出力に応じた従量課金制のレンタルサービスを開始するほど、ビッグデータ活用は広がっています。

小さな酒蔵から学ぶ中小企業のビッグデータ活用

日本の中小企業は日本全体の99.7%を占め、日本経済の大部分を支えていることは紛れもない事実です。ところが日本の中小企業はビッグデータ活用にあまりに消極的だと言われています。そもそも、海外企業に比べてIT活用が得意ではないという国民性もあるので、仕方のないことではありません。しかし一方で、ビッグデータ活用によってビジネスに大きな転換をもたらせば、企業単位で大幅な業績向上を見込めるだけでなく、経済全体においても好循環をもたらします。

皆さんがよく知る日本酒の特定名称種、「獺祭(だっさい)」を製造・販売する旭酒造は、もともと山口県岩国市にある小さな酒蔵でした。同社はその昔、杜氏(酒造りの全体管理を行う職人)に逃げられた経験からビジネス的危機感を肌で感じ、ビッグデータ活用に取り組みました。

過去の酒造データから各工程における温度・湿度管理、次工程へ移行するタイミングなどを細かく分析し、杜氏が持っている暗黙知を可視化することによって、入社1年目の従業員でもプロフェッショナルと同じように酒造りに携われる環境を整備しました。その結果、年間を通じて安定した品質の日本酒を製造できるようになり、かつこれをきっかけに技術投資を積極的に行ったことで、より高品質な日本酒製造に成功しています。

中小企業のビッグデータ活用は、必ずしも「ビッグ」である必要はなく、画期的な商品やサービスを生み出すことが本質というわけでもありません。旭酒造のように徹底した業務標準化のためにビッグデータを活用するのも、大いに「あり」な取り組みです。この機会にぜひ、自社におけるビッグデータ活用について検討してみてください。

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