BIツールで利用されるOLTPとは？

2021.04.01 ヤマトクレジットファイナンス株式会社

OLTP（On-line Transaction Processing)はBIツールで利用されるようなデータ処理の仕組みを意味します。最近ではBIツールを利用して非エンジニア・非データサイエンティストがデータ分析に取り組むケースが多分に増えています。データ分析のために特別な知識と技術はだんだんと不要になっていますし、BIツールがあれば高度な分析も可能です。だからこそ、すべてのビジネスパーソンがOLTPなど技術的な話を、少しでも知っておくことが大切でしょう。本記事では、OLTPの概要やOLAP（On-line Analytical Processing）との違いを分かりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

OLTPとは？

改めまして、OLTPとは「On-line Transaction Processing（オンライン・トランザクション・プロセシング）」の略であり、データ処理の仕組みやソフトウェア、あるいはデータベースを指す言葉です。まずは「トランザクション」と「オンライン」に分けて説明します。

トランザクション

トランザクションの意味は「一体不可分な処理単位」です。データを処理する場合、互いに関連・依存した細かいプロセスが発生します。それはまるで仕入・加工・製造・出荷・納入といったサプライチェーンのように、鎖のように繋がっています。そうした一連の流れのことをトランザクションと呼びます

オンライン

オンラインはしばしば「インターネット上」を意味しますが。OLTPのけるオンラインでは「リアルタイムな処理」を指しています。そのため、インターネット上でなくてもLAN（社内ネットワーク）で接続されたクライアントとサーバーの間で行われるデータ処理がリアルタイムなら、それはオンラインということになります。

以上のことから、「クライアントから要求を受けたサーバーがリアルタイムでトランザクション処理を行い、特定のレスポンス(データの追加、更新、削除、変更)を返す」のがOLTPです。

OLTPを用いている代表的なシステムといえば、銀行会社が運用しているATMです。ATMシステムで利用者が「引き出したい金額」「振り込みたい金額」という要求に対し、即座にレスポンス（現金引き渡しまたは振込処理）します。

ちなみにOLTPとは反対にオフラインでのトランザクション処理を行うのが「バッチ処理」と呼ばれる処理方法です。バッチ処理は一定期間の間にたまったデータ処理を、特定の時間に一括で行うものです。銀行の勘定系システムにはバッチ処理が採用されており、日中に溜まった取引データを夜間に実行します（夜間バッチ）。処理すべきデータ量が膨大であり、かつ緊急性の低い処理で採用されます。

OLAPとの違い

OLAPは「On-line Analytical Processing（オンライン・アナリティカル・プロセシング）」はデータの処理方法ではなく、データの分析方法について指定した仕組みやソフトウェアを意味します。オンラインはOLTPと同じく、インターネットに接続されていることではなくリアルタイムに処理されることを意味します。アナリティカルとは分析のことで、つまりはデータベースに蓄積された大量のデータを多次元的に集計・分析し、クライアントに素早くその結果を返すことを意味しています。

OLAPはデータサイエンティストなどデータ分析の専門家よりも、データ分析の初学者や中級者向けの仕組み・ソフトウェアです。専門技術者がいなくても操作できるようにGUI（Graphical User Interface）を採用していることが多く、データ分析の結果をグラフや表形式で分かりやすく表示する機能が搭載されています。

BIツールとOLTPの関係

BI（Business Intelligence）ツールは非データサイエンティストであっても、自らデータの収集と分析を行い、日常のビジネスに活かせる情報を探し出すためのツールです。従来、BIツールに採用される仕組みはOLAPが主流でしたが、最近ではOLAPに加えてOLTPを統合する製品もあります。

そうしたBIツールでは、基幹システムで受注処理を行いつつ、地域別・年齢別の受注傾向をリアルタイムに分析しながら次回のキャンペーンを実施し、さらに施策を評価しながら新しいキャンペーン施策を立てるといった、高度にリアルタイム化された経営活動が可能になります。
これまで「BIツール＝OLAP」というイメージが強かったものの、最近ではOLTPの注目度も高まっています。BIツール導入の際は、OLTPとOLAPの違いを意識しながら自社に最適な製品を選択することをおすすめします。