軽減税率適用時の領収書・請求書の対応について

 2020.07.21  ヤマトクレジットファイナンス株式会社

2019年10月の消費税増税に伴い軽減税率制度がスタートしました。本来10%に引き上げられる消費税が、食料品を中心に8%のまま据え置かれることは説明するまでもないでしょう。この軽減税率制度によって変わったことは他にもあります。それが領収書・請求書の扱いです。また、2023年には帳簿管理に関する新しい制度であるインボイス制度もスタートします。改元税率制度への対応が完璧ではないかもしれない…、と不安を抱いている方は、本記事で軽減税率適用時の領収書・請求書の対応について改めて整理してみましょう。

増税前と増税後、領収書・請求書の扱いはどう変わった?

法律では、取引における請求書を客観的証拠書類として保存することが求められており、これを「請求書等保存方式」と呼びます。請求書を発行する企業は所定のルールに従って取引内容を明記する必要があり、「発行者及び受領者の氏名または名称」「取引の年月日」「取引内容」「対価の額(税込み)」「受領者の氏名または名称」を明記しなければいけません。

この制度は増税後に一部変更され、上記の明示事項に加えて以下の項目を請求書に明記しなければいけません。これを「区分記載請求書等保存方式」と呼びます。

  1. 軽減対象資産の譲渡等である旨
  2. 税率ごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込み)
     ※これらは交付を受けた事業所の追記が可能
出典:国税庁『軽減税率制度・適格請求書等保存方式の施行スケジュール
出典:国税庁『Ⅲ 区分記載請求書等保存方式

従来の請求書と違う点を上の図から説明しますと、品名によって軽減税率対象かどうかを明記した上で、税率ごとに区分して合計した金額を明記します。ちなみに軽減税率対象の明記に特定のルールは無く、「※」や「★」などの記号を使用するケースもあります。

軽減税率制度における領収書・請求書の対応変更は一見した簡単なもののように思えますが、適用当初は想定以上にシステム不具合が発生し、多くのITシステムベンダーが日夜トラブルへの対応に奮闘していました。

2023年にスタートするインボイス制度とは?

軽減税率制度がスタートしたことにより、消費税を正しく徴収しているかどうかの確認が難しくなります。従来は消費税が8%で統一されていたため、商品の合計金額(税込み)さえ記載されていれば問題なかったのです。そこでこの問題を解消するために、2023年10月を目途に導入される予定の制度がインボイス制度です。正式名称を「適格請求書等保存方式」と呼びます。この制度では「区分記載請求書等保存方式」の要件に加えて、以下の項目を請求書に明記しなければいけません。

  1. 登録番号
  2. 税率ごとの消費税額及び適用税率
    ※「税率ごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の額」は税抜価額または税込み価額

出典:国税庁『Ⅵ 適格請求書等保存方式(令和5年10月1日~)

先にご紹介した「区分記載請求書等保存方式」と比べると、右上に記明記されている登録番号と、合計金額欄に明記している税率ごとの消費税額及び適用税率が追加されています。ただし、既に税率ごとの消費税額及び適用税率を適用している事業者は多く、実際にインボイス制度がスタートする時は登録番号だけを追記すればよいので、大きなトラブルには発展しないと予測されています。

インボイス制度によって大きく変わる点は他にもあります。それは、請求書等の交付義務です。従来、そして現在の制度では請求書等の交付義務はなく、類似書類等の交付による罰則はありません。しかしインボイス制度では請求書等の交付義務があり、類似書類等交付の罰則があります。

インボイス制度に向けた対策を

いかがでしょうか?「区分記載請求書等保存方式」とインボイス制度には他にも細かい要件がありますので、国税庁が発表している資料を参考に細部まで確認を取っておきましょう。対応に一定の手間やコストはかかりますが、しっかりと対応することでのメリットもありますので、現段階からインボイス制度に向けた対策を検討していきましょう。

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