ECサイト運営者が知っておきたい法律について

 2019.10.07  ヤマトクレジットファイナンス株式会社

ECサイトを運営するにあたり、運営者はさまざまな法律に精通していないといけません。あなたはこれらの法律を熟知していますでしょうか?本稿では、法律にもとづいて規定されているECサイト運営者が果たすべき責務と、電子商取引におけるルール等の要点をご紹介します。

オンライン契約の申込みと承諾に関するルール

1.       ECサイトには契約が成立する時期について

ECサイトを通じて電子商取引を行う際に留意したいポイントが「契約が成立するのはいつか?」です。これには「電子メールの場合」と「ウェブ画面の場合」という、2つのパターンから規定が設けられています。

<電子メールの場合>

承諾通知の受信者(商品申込者)が指定した、または通常使用しているメールサーバーの中の、メールボックスに読み取り可能な状態で記録された時点。

<ウェブ画面の場合>

商品申込者のモニター画面上に承諾通知が表示された時点。

電子メールの場合は「読み取り可能な状態」というのがポイントであり、メールサーバーの障害によってそもそもメールが商品申込者に届いていない、メール内容が文字化けによって判読不能な場合は契約が成立したことにはなりません。

ウェブ画面の場合は、「ご購入ありがとうございます」等のサンクスページが商品申込者に読み取り可能な状態で表示されると契約が成立したことになります。

 

2.       消費者が操作ミスした場合の対処

対消費者の電子商取引では、「消費者が申し込みを行う前に消費者の申し込み内容等を確認する事業者側が講じた場合」と、「消費者自らが確認措置不要である旨意思の表明をした場合」を除き、操作ミスによる消費者の申し込みの意思表示は無効になります。要するに、消費者に重大な過失があればECサイト運営者は消費者に操作ミスがあっても、契約の有効性を主張できるということです。

ただし、「あるボタンをクリックすることで申し込みの意思表示になることを消費者が明らかに確認できる画面を設定すること」と、「確定的な申し込みとなる送信ボタンを押す前に、申込内容を表示してそこで訂正する機会を与える画面を設定すること」の条件を満たさなければいけません。

 

3.       電子商取引における分かりやすい申し込み画面の設定義務

ECサイトを通じた電子商取引において、「あるボタンをクリックすればそれが有料の申し込みとなることを消費者が容易に認識できるように表示していない場合」と、「申し込みをする際に消費者が申込内容を容易に確認でき、かつ訂正できるように措置していない場合」には、特定商取引法第14条による行政処分の対象になります。

商品点数や小計金額、合計金額等を確認画面でしっかりと明示し、かつ訂正可能な状態にすることで申し込み画面の設定義務を果たすことができます。

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ECサイトにおける返品に関するルール

ECサイトを通じて電子商取引において、特定商取引法上の「通信販売(特定商取引法第2条)」における法定返品権(特定商取引法第15条の2)により、広告に返品特約が付されていない商品または指定管理を販売する場合、一定の条件のもと返品を行うことができます。ただし、法定返品権は契約違反や瑕疵担保責任などの問題がない場合の返品について規定したものであり、債務不履行解除や瑕疵担保責任による解除については、契約の一般的効果として返品できる場合があります。

法定返品権とは?

通信販売では、消費者の自主性が損なわれるほどの不意打ち性がないということから、訪問販売などについて規定されているクーリング・オフ制度(特定商取引法第9条)は設けられていません。返品の可否や条件については、消費者にとって容易に認識することができるように表示することで、販売者が自由に決定することができます。

 

一般的に、ECサイトを通じた電子商取引は隔地者間の取引になるため、販売条件等についての情報は広告を通じてのみ提供されることになり、返品の可否、条件等の特約についても、広告を通じて提示されることになります。

 

ECサイトモール運営者の責任に関するルール

ECサイト店舗との取引で損害を受けた消費者に対して、ECサイトモール運営者が責任を負う場合はあるのでしょうか?たとえば、消費者がモールに出店していた店舗から商品を購入したところ、商品に欠陥があったが店舗が行方不明になり連絡が取れない場合、モール運営者に対して損害賠償を請求することが可能なのか。

 

まず、原則として個別の店舗との取引によって生じた損害の場合、モール運営者は責任を負いません。ただし、以下のような場合はモール運営者が責任を負うことがあります。

  • 店舗による営業をモール運営者自信による営業と消費者が誤って判断するのもやむを得ない外観が存在している
  • その外観が存在することについてモール運営者に責任がある
  • 消費者が重大な過失なしに営業主を誤って判断して取引をした

この場合、商法第14条の類推適用により、モール運営者が責任を負う場合があります。この他にも、モール運営者に不法行為責任等を認め得る特段の事情がある場合などには、モール運営者が責任を負う場合があります。

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ユーザー間取引に関するサービス運営事業者の責任

インターネットオークションやフリマサービスといったユーザー同士による取引が行われるサービスにおいて損害を受けたユーザーに対し、サービス運営事業者はどういった責任を負うのか?

まず、サービス運営事業者が取引に実質的に関与しない場合、原則として責任を負いません。ただし、インターネットオークションにおける出品物について、警察本部長等から競りの中止の命令を受けたにもかかわらず、オークション事業者が当該出品物にかかわる競りを中止しなかったため、落札者が盗品等を購入し盗品等の諸湯者から返還請求を受けた場合などについては、損害賠償義務を負う可能性があります。

もっと見る:BtoBのECサイトはBtoCとどう違う?

ECサイト運営に関する法律を細かくチェックしよう!

ECサイト運営者が知っておくべき法律はたくさんあるので、この機会に細かいところまでチェックし、法律に抵触するような運営をしないように注意しましょう。

ちなみに、EC運営者が知っておくべき法律は多く、その代表的な法律だけでも以下のようなものがあります。

<ECサイトが準拠すべき法律>

  1. 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)
  2. 個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)
  3. 資金決済法(資金決済に関する法律)
  4. 通則法(法の適用に関する通則法)
  5. 電子契約法(電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律)
  6. 特定商取引法(特定商取引に関する法律)
  7. 特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)
  8. 独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)
  9. 不正アクセス法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)
  10. プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)
  11. 預金者保護法(偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護に関する法律)

引用:経済産業省「電子商取引及び情報材取引等に関する準則

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