2020年4月施行!働き方改革は中小企業も対象に

 2020.07.07  ヤマトクレジットファイナンス株式会社

2019年4月より施行された働き方改革関連法案。これにより、多くの企業が労働環境の転換期を迎えています。そして2020年4月からは、いよいよ中小企業でも「時間外労働の上限規制」が適用され、さらに大企業では「同一労働同一賃金」制度が適応されます(中小企業は2021年4月より適用)。本記事では、すでに適用されている法案を含め、中小企業の労務管理がどう変わったのか?これからどう変わるのか?を解説します。

2019年4月より中小企業にも適用された法案

まずは、働き方改革関連法案がスタートした2019年4月に、中小企業・大企業で同時に適用された法案について整理します。

  1. 年5日間の年次有給休暇付与の義務付け
    使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える必要がある。
  2. 高度プロフェッショナル制度の創設
    高度専門職(金融商品開発、アナリスト、コンサルタント、研究開発、取材・編集者、公認会計士、弁護士、企画・立案・調査業務など)を労働時間規制から外し、新たな規制の枠組みが創設される。(制度導入には法律に定める企業内手続きが必要)
  3. フレックスタイム制の拡充
    通常よりも長い労働期間の間で合算して労働者が始業・就業時刻を柔軟に選べる制度であるフレックスタイム制。従来の清算期間が最長1ヵ月だったのに対し、フレックスタイム制の拡充により生産期間が最長3ヵ月に延長される。
  4. 勤務間インターバル制度導入の努力義務
    労働者の心身状態を健康に保つために、24時間以内に最低でも10時間前後の勤務間インターバルを設けること。大企業では就業規則や労使協定で規定されているケースが多い。
  5. 労働時間の客観的な把握の義務付け
    裁量労働制が適用される人や管理監督者も含め、すべての人の労働時間の状況が、客観的な方法その他適切な方法で把握されるよう法律で義務づけられる。
  6. 産業医・産業保健機能の強化
    事業主から産業医への情報提供や産業医等による労働者の健康相談等が強化される。

以上の中で中小企業の労務管理に大きく影響したのが「年5日間の年次有給休暇付与の義務付け」です。年次有給休暇というのは、正規雇用社員の場合は通常雇入れから6ヵ月間継続して勤務し、かつ全労働日(出勤義務のある日)の8割以上出勤した場合に、10日間の有給休暇が発生するルールです。さらに1年度ごとに8割出勤を満たせば有給休暇が都度発生し、6年6ヵ月では最高の20日間の年次有給休暇が生まれます。

そして非正規雇用社員においても、一定の条件を満たせば正規雇用社員と同等の年次有給休暇が取得できます。「年5日間の年次有給休暇付与の義務付け」は当然ながら、非正規雇用社員に対しても有効です。

企業は従業員ごとに発生した10日以上の年次有給休暇に対し、発生から1年以内に時季を指定して5日以上の取得を義務付けなければいけません。これまで年次有給休暇とはいえば、あってないようなもの。会社の業績次第や上長の方針によっては取得されないまま消化されることも少なくありません。

このため中小企業でも従業員個々の有給休暇日数と取得状況を細やかに管理し、年5日以上の有給休暇取得を指令しなければいけません。

「時間外労働の上限規制」で労務管理はどう変わるのか?

直近の課題として最も重要なのが、「時間外労働の上限規制」への対応です。この法案は、これまで36協定を届け出れば事実上青天井だった時間外労働に明確な上限を設定し、違反した場合は罰則が設けられています。その上限というのが、次のようなものです。

“時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定する必要がある。”

この上限規制に違反した場合、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることになります。従って、中小企業の労務管理では従業員個々の労働時間を詳細まで把握し、必要に応じて勧告を行って「働きすぎ」を防止しなければいけません。

そのために新しい勤怠管理システムを導入したり、労務状況に関する報告体制を徹底したりと、新しい法案へ対応するための労務管理業務は多数あります。また、業務過多や人材不足によって法令遵守が難しい場合は、働き方改革やシステム導入等によって生産性を著しく向上させ、時間外労働を大幅に削減するという取り組みも欠かせません。

今後も、働き方改革関連法案によって企業の労務管理は大きく変化していきます。2021年4月に適用される「同一労働同一賃金」制度も見据えながら、新しい労務管理について検討していきましょう。

新規CTA

EC業界のトレンド7選
クロネコ掛け払いご紹介資料

RELATED POST関連記事


RECENT POST「トレンド」の最新記事


2020年4月施行!働き方改革は中小企業も対象に
New Call-to-action
New Call-to-action

RANKING人気記事ランキング

RECENT POST 最新記事

ブログ購読のお申込み
ヤマトフィナンシャル