統計分析で使用される「クロスセクションデータ」とは?
2020.12.22 ヤマトクレジットファイナンス株式会社
2020.12.22 ヤマトクレジットファイナンス株式会社
ビジネスにおいて「データ活用が当たり前」と考えられるようになったのはごく最近のことです。しかし、急速な技術発展とビジネス環境の変化によって、すでに多くの企業がデータ分析のためのプラットフォーム(基盤)やシステムを用いています。本記事でご紹介するのは、統計分析で使用される「クロスセクションデータ」についてです。統計分析の分野ではよく見聞きする言葉ですが、一体どのようなデータを指すのでしょうか?
まずは「クロスセクション(Cross Section)」の言葉の意味から解説します。これは日本語で「横断的」という意味で、つまりは複数の要素をまたいでまとめられたデータのことです。たとえば次のようなデータが該当します。
上記のデータは『令和元年版 情報通信白書(総務省)』にて、「企業におけるクラウドサービスの利用動向」についてまとめられたデータです。
このように、クロスセクションデータは一時的において、複数の対象の情報を横断的に集めたデータのことを指します。データ活用の際に資料するデータのほとんどはおそらく、クロスセクションデータです。
クロスセクションデータの対義として用いられるのが「時系列データ」です。これはある一点の情報に関して、時系列で記録されたデータのことを指します。
参考:The Weather Channel 東京都 の1時間ごとの天気(2020年3月8日)
上記のデータは2020年3月8日時点の東京都における1時間ごとの気温を表しており、こうして時系列にまとめられたデータを時系列データと呼びます。ただし、クロスセクションデータも見方を変えれば時系列データの一種です。
たとえば先ほどご紹介した情報通信白書にまとめられたデータは、毎年同様の調査内容でデータが発表されています。それらのデータを時系列につなぎ合わせれば、クロスセクションデータであり、かつ時系列データでもあります。ちなみにそうしたデータのことを「パネルデータ」と呼びます。
企業内で活用されているデータの中にもクロスセクションデータは多数存在しています。たとえば顧客ごとの売上高、顧客の基本情報(会社概要、従業員数、事業規模、所在地、拠点数、海外展開の有無など)を横断的にまとめれば、クロステクションデータとして様々な知見が導き出せます。
統計分析の基本とも言えるクロスセクションデータを分析する最大のメリットは、「横断的に収集した各データを比較しながらビジネスに価値ある情報を創出できる」点です。前述したデータを収集し、分析すれば優良顧客を抽出するだけでなく、優良顧客となる企業の特徴を正確に把握することが可能になります。それはつまり、同様の特徴にマッチした企業をターゲットとして事業展開すれば、優良顧客を数多く獲得して売上向上などに繋げるチャンスになるということです。
あくまで極点な例ですが、クロスセクションデータにはそうしたメリットがあります。さらに、これに時系列データを加えてパネルデータとして分析すれば、さらに多くの情報が導き出せることでしょう。
クロスセクションデータや時系列データを収集するには大変な手間と労力がかかります。しかし今では、データ連携ツールやERP(Enterprise Resource Planning)などを導入することで、企業全体のデータを効率良くかつ自動的に収集するための製品が整っています。統計分析を始めるためのハードルは年々下がっており、統計分析の専門家やエンジニアが不在でもスタートできます。この機会に、クロスセクションデータやその他様々なデータの統計分析を通じて、ビジネスの最適化を測ってみてはいかがでしょうか?