電子帳簿保存法で領収書や請求書はどう変わる?

 2022.03.03  ヤマトクレジットファイナンス株式会社

電子帳簿保存法が施行されたのは1998年と古く、正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。この法律が定めるのは、それまで原本保存が義務付けられていた各種帳簿や証憑書類(領収書など)が、特例としてデータ化保存を認めることです。それから20年以上、電子帳簿保存法は複数の改正を経て、現在では実用的な法律として多くの企業がそれに準拠しています。では、電子帳簿保存法で領収書や請求書の管理はどう変わるのでしょうか?

電子帳簿保存法のターニングポイントは2015年・2016年

1998年に施行された電子帳簿保存法は実用的ではないとして、これに準拠する企業は非常に限られていました。また、2005年にはe文書法が施行されたことで、一部内容が緩和(原本のスキャナ保存を認める)されたものの、それでも要件は厳しく日常のビジネスに採り入れる企業はほとんどいませんでした。大きな転換期を迎えたのは、2015年と2016年に施行された電子帳簿保存法改正です。

2015年の電子帳簿保存法改正

2015年にはe文書法で改訂された「スキャナ保存要件」が緩和され、それまで対象外となっていた、取引先と紙で授受する帳簿をスキャナし、データ化して保存できるようになりました。主な内容は以下の通りです。

  1. 業務処理サイクル方式を採用する際に必要とされていた、国税関係帳簿にかかわる「電磁的記録等による保存制度の承認」が不要になりました。
  2. スキャナ保存の際に必要とされていた電子署名が不要になりました。
  3. 保存要件を緩和する一方で、国税の納税義務の適正な履行を確認する観点から、「適正事務処理要件」を満たす必要があります。

2016年の電子帳簿保存法改正

続いて2016年の電子帳簿保存法改正では、「スキャナ保存要件」がさらに緩和されています。以前は解像度200dpi以上のスキャナでの読み取りと、帳簿の大きさに関する情報を保持しなければいけなかったのに対し、800万画素以上のカメラを搭載するスマートフォンでもデータ化による保存が認められました。これに伴い、領収書がA4サイズ以下の場合は、大きさに関する情報が不要になっています。

ただし、スマートフォンで撮影した領収書をデータ化保存する場合は、受領後3日以内にタイムスタンプを付与する必要があり、受領した本人が領収書に対して手書きの署名をするという要件が加わっています。

データ化保存に対応している帳簿・書類とは?

では、具体的にどういった帳簿・書類がデータ化保存に対応しているのでしょうか?以下に表でまとめました。

<電子帳簿保存法に対応している帳簿・書類>

対象書類

分類

総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金・買掛金元帳固定資産台帳
売上・仕入帳など

国税関係帳簿

棚卸表、貸借対照表、損益計算書、その他決算に関して作成した書類

国税関係書類
(決算関係書類)

領収書(および写し)、契約書(および写し)、請求書、納品書など

 

国税関係書類
(その他の証憑類)

見積書、注文書など

一般書類

<電子帳簿保存法における保存方法の仕分け>

区分

対象書類

電磁的記録による保存

スキャナ保存

帳簿

仕訳帳、現金出納量、売掛金元帳、買掛金元帳
固定資産台帳、売上帳など

会計ソフトの
データ等

保存不可

書類

『取引関係書類』

注文書、請求書、見積書、契約書、領収書、納品書など

紙で発行した
書類の控え

紙で受け取った書類

電子取引データ

『決算関係書類』

棚卸表、賃借対照表、損益計算書など

会計ソフトの
データ等

保存不可

補足を加えますと、自社内で完結する帳簿と決算関係書類のデータ化に関しては、「電磁的記録による保存」のみが対象になっています。これはつまり、会計ソフト等で入力したデータを保存することにより、決算書や総勘定元帳の印刷及び保管を省略することができるということです。

さらに、帳簿をデータ化保存する際は電子帳簿保存法により「自社で一貫して統一的に電子的な会計データを作らなければいけない」という規定があり、多くの企業で導入されている会計ソフト等はその要件を満たしていることから、データ化保存のハードルが低くなっていることが分かります。

電子帳簿保存法に対応するためには?

電子帳簿保存法にしたがって帳簿や書類のデータ化保存を実施するためには、以下の手続きを踏む必要があります。

  1. 国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書を記入
  2. 承認を受けようとする国税関係書類の保存を行う電子計算機処理システムの概要を記載した書類
  3. 承認を受けようとする国税関係書類の保存を行う電子計算機処理に関する事務手続の概要を明らかにした書類
    (当該電子計算機処理を他の者に委託している場合には、その委託に係る契約書の写し)
  4. 申請書の記載事項を補完するために必要となる書類その他参考となるべき書類その他参考書類

参考:国税庁ホームページ「[手続名]国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請

電子帳簿保存法は今や実用的な法律として多くの企業が対応し、帳簿や書類のデータ化保存で印刷コストを削減したり、業務効率向上を目指したりしています。対応のためのハードルもグンと下がっており、今後も法整備が続けられていくことが予想されていますので、電子帳簿保存法への対応をぜひ検討してみてください。

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