商圏分析のやり方をわかりやすく解説

 2022.02.03  ヤマトクレジットファイナンス株式会社

今回は店舗マーケティングで重要な「商圏分析」のやり方について分かりやすく解説したいと思います。

皆さんが務めている店舗では売上拡大や集客率向上のためにどういった施策を展開しているでしょうか?恐らくクーポンを配布したり、最近ではWebサイトを使った集客施策等を行っている店舗も多いかと思います。では、そうした店舗マーケティング施策の効果をより高くするためには何をすればよいのか?それが商圏分析です。

ちなみに商圏とは次のようなものを指します。

“商圏(しょうけん)とは、ある商業施設や小売店、商店街などを日常的に利用する消費者が生活している地理的な範囲を指す。商圏の中心から辺縁部までの距離を商圏距離、その施設を利用しているか否かに関わらず商圏内の全人口を商圏人口という。”
出典:Wikipedia 「商圏

この商圏を分析することでそこから得られる消費者情報は多く、店舗マーケティング精度を高めるために役立ちます。

商圏分析の基本「商圏エリア設定」

商圏分析を行うにあたってまずやるべきことが商圏エリアを設定することです。インターネットユーザーのすべてをマーケティング対象として設定できるWebサイトと違って、店舗マーケティングでは提供している商品やサービスによって最適な商圏エリアが変わります。分かりやすく言えば地域密着型のスーパーマーケットでは近隣が商圏エリアになりますが、大型アウトレットモールの商圏エリアは近県にも及びます。これは極端な例ではありますが、店舗が提供する商品やサービスによって商圏エリアは確実に違いますので、まずはその点を考慮して商圏エリアを設定していきます。

商圏エリアを設定するにあたっていくつかの考え方があるので以下にご紹介します。

地図商圏

地図上にある自店舗の位置を中心にして、一定距離の同心円を描きます。その円がどれくらいの大きさになるかは提供する商品やサービスによって違うでしょう。たとえば地域密着型のスーパーマーケットならば、半径3km程度が商圏エリアになるかと思います。自店舗にとってどらくらいの範囲が最適化に関しては経験則や実際の顧客データから導き出し、継続的に改善を加えていくことで最適な商圏エリアを設定していきましょう。地図上で商圏エリアを確認することで、競合店舗や河川といった地理的集客阻害要因を整理することもできます

ドライブ商圏

自店舗から自動車運転時間で商圏エリアを設定する方法です。こちらも経験則や実際の顧客データから導き出し、継続的な改善を加えていくことで最適な商圏エリアが決定していきます。地域密着型のスーパーマーケットの場合は、大体15分~20分程度が最大商圏エリアになるのではないかと思います。複数パターンを作成しておくことで渋滞などの時間的集客阻害要因を整理することができます。

ハフモデル

ハフモデルとは1960年代に、米国の経済学者であるデイビッド・ハフ博士が考案したモデルです。ある店舗に消費者が買い物に出かける確立を、多店舗との競合状況を考慮しながら予測するものです。消費者は近くにある大きな店舗へ行くという一般的な傾向を前提にしており、ある店舗を選択する確率を店舗の売場面積に比例し、そこまでの距離に反比例するとしています。店舗面積が広いほど消費者がその店舗を選択する確率が高くなり、距離が遠くなるほどその確率は低下するというモデルとなります。
参考:技研商事インターナショナル「ハフモデル

商圏エリアを設定する際はいずれかの方法を取るのでもよいですし、複数の方法を組み合わせて設定するのもよいでしょう。自店舗の特徴に合わせて適切な方法で商圏エリアを設定することが大切です。

商圏分析に欠かせない顧客情報

商圏分析を行うにあたって欠かせないもの自店舗に来店する顧客に関わる様々な情報です。より多くの顧客情報があれば、どういった人が自店舗に来店しているのかを明確に把握できるため、店舗マーケティングを効率良く行うことができます。これといった施策を展開していない場合、顧客情報を収集することは難しため、いくつかの方法で取得します。

まず、商圏分析に必要な顧客情報は次のようなものです。

≪顧客の属性情報≫

  • 氏名
  • 年齢
  • 性別
  • 住所
  • 職業
  • 家族構成

≪来店に関する情報≫

  • 交通手段
  • 所要時間
  • 来店頻度

≪競合情報≫

  • よく利用する店舗

≪要望に関する情報≫

  • 商品やサービスに満足度について
  • スタッフの対応について
  • その他顧客から要望やクレーム

これらの顧客情報があれば十分な商圏分析が行えます。しかし、来店した顧客もただの親切心でこうした個人情報を公開してくれることは当然あり得ません。そこで来店した顧客に向けてアンケート調査を実施します。その際はアンケートに回答することでの特典を用意するとよいでしょう。

あるいは、ちょっとしたブランディングが可能な店舗ならば会員制にして顧客情報を取得するという方法もあります。

顧客情報を活用する

商圏分析にあたっていろいろな顧客情報が必要ですが、ひとまず年齢、性別、住所さえあれば活用するこができます。まずは収集した顧客情報をもとに地図上の商圏エリアと照らし合わせて、顧客情報をマッピングしてみましょう。

収集した顧客情報をホワイトボードに張り付けた地図に一つ一つマッピングしていきます。マッピングといっても居住情報ごとにドットを打っていくだけで構いません。ここで注意すべき点は、マッピングはお客様の正確な居住情報がないと意味がないため、番地やマンション名まで含めた居住情報のみを反映していきます。

さらに、同じマンションに複数人のお客様が居住している場合は、まとめて一つの大きなドットにするのではなく少しずらして同じ大きさのドットを必ず記入しましょう。大切なのは地域ごとにどれくらいの顧客が分布しているかを把握することです。

顧客の来店頻度に関する情報があれば、来店率について割り出すこともできます。商圏距離の10分の1の距離で地図をメッシュ単位に分割して、メッシュごとの濃淡を把握していく方法です。ちなみにこれは来店率分析と呼ばれます。

まずはメッシュ別の顧客数を数えて、その数からメッシュごとの人口を割ります。スーパーや家電量販店なら世帯数で割りますし、自動車ディーラーなら登録自動車数で割ります。つまり「すでに来店しているお客様数÷その地域に在住している潜在顧客の最大数=来店率(市場シェア)」ということです。

来店率が把握できたらそのパーセンテージに応じて濃淡を視覚化して、自店舗の利用について分析してみましょう。

システムで実現する商圏分析

商圏分析を独自に行うと手間がかかりますし、手間がかかるということはコストも当然かかります。なのでシステム化によって商圏分析を効率良く行い、素早く店舗マーケティングに反映させているという店舗もあります。商圏は変化の連続なので、スピード感のある店舗マーケティングを展開している店舗ほど施策効果を高めています。

商圏分析をシステムによって自動化し、素早く店舗マーケティングに反映できるので施策効果も高まります。そのためには、DMP(データマネージメントプラットフォーム)やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)と呼ばれる顧客情報を分析する基盤を整備すると便利です。

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