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入金消し込みとは?売掛金消し込み作業を効率化する方法

経理の担当者と話をしていると「今月も消し込みが大変でね…」なんてフレーズをよく聞きます。では、「消し込み作業」と聞いて皆さんはどんな作業を想像しますか?

本稿ではそんな消し込み作業について解説します。重要な業務でありながら、とても労力がかかる消込作業を効率化する方法についてもご紹介します。毎月の消し込み作業に困っているという方は、作業を効率良く行うためのヒントを見つけていただければ幸いです。

入金消込とは?

「消し込み」という言葉をもっとシンプルに言い換えると、「消す」という意味です。では何を消すのでしょうか?経理部門では会社の経営資金になる債権(売掛金)と、会社が取引先に支払うべき債務(買掛金)を管理しています。

債権と債務は、発生したタイミングと実際に支払いが行われるタイミングが違うため、未払いの債権と債務は「債権残高」と「債務残高」として管理されます。

入金日と支払日にはそれぞれの残高に応じたお金のやり取りがされ、実際の入金額と支払額が残高と一致しているかどうかを確認し、残高から債権と債務を消す作業をおこないます。それが「消し込み」作業です。

では実際に、会社が売上(債権)をあげた際の、消し込み作業の一例をご紹介します。

上記例では、4月1日に発生した売上は債権(売掛金)として管理され、その時点ではまだ入金はされません。入金日として指定されている415日に、売上と同額の支払いが確認できました。そこで41日の売上を消し込んでいます。つまり、請求した金額が正しく入金されたかの確認と言うことです。

このように債権や債務を消す作業が、消し込み作業です。債権だけではなく、債務(買掛金)や減価償却費累計額など、あらゆる債権と債務の科目に消し込み作業が行われます。

消し込み作業はなぜ大変か?

消し込み作業についてサラッと説明したので、「とっても簡単な作業じゃない?」と思った方も多いでしょう。確かに「入金額や支払額を確認して消し込む」という考え方自体はいたってシンプルなものなのです。しかし、会社の1ヵ月あたりの取引件数は1つや2つではないはずです。それに加えて、あらゆる債権と債務の消し込み作業が必要になるのですから、その負担は想像を超えたものになる場合があります。

例えば、420日時点で下記のように債権が残っているとします。

    25,686
    68,753
    67,751
    12,420
    66,141
    59,460
    14,893
    41,251
    35,217
    96,249
    53,786
    90,833
      ・
      ・

こうした債権残高が何十個何百個とあるなかで、同日に下記のような入金があったと仮定します。

    14,893
    68,753
    25,686
    12,420
    67,751
    59,460
    66,141
    90,833
    35,217
    96,249
    53,786
    41,251
      ・
      ・
      ・

以上のように、膨大量の債権情報と入金明細と突き合わせて消し込み作業を行っていきます。

この時、同日の債権と入金額、件数がイコールになることは少なく、すべての債権が消し込めるわけではないことがポイントです。Excelなどで作成した台帳を元に、手作業で作業を行うことを想像すると大変さが想像できるかと思います。

そして支払い期限が守られないものや、入金金額が間違っているものもあります。さらには、経費と債権の相殺、まとめ入金、振り込み手数料等によって消し込み作業はより複雑になります。さまざまな可能性を考慮しながら正確な消し込み作業ができるのは、ベテラン社員のみというのが大半の経理部の現状になっています。

属人化になりやすい理由とそのリスク

消し込み作業を正確に行える人材がベテラン社員に集中している状況を「属人化」と呼びます。特定の社員しか消し込み作業が行えない状態が続くと、その社員の精神的・肉体的負担は大きくなっていきます。繁忙期にはその負担がさらに大きくなるでしょう。そのまま放置すると社員のフラストレーションはたまり続け、生産性が低下する危険性があります。

もう1つのリスクは、社員が退職または休職したときに顕在化します。ベテラン社員が退職または休職によって現場を離れてしまうと、消し込み作業を正確に行える人材がいなくなってしまうため、消し込み作業は滞り、会社のキャッシュフローが悪化するおそれがあります。消し込み作業は会社の経営活動において必須で大切な作業ですが、これを効率良く行うための仕組みを持つ企業は、そう多くありません。

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消し込み作業を簡素化するには?

経理部門の消し込み作業を簡素化するための方法としてまず挙げられるのが「経理業務のシステム化」です。ITの力を借りて、経理業務の多くをシステムで実行できるようにすると、効率良く作業を進めることができますし、属人化を防ぐことも可能です。ただし、システム化には当然ながらコストがかかります。

最近では、システム構築の初期投資を抑えるために「クラウド経理システム」を導入する企業も増えています。これは、経理システムをインターネット経由でサービスとして提供するもので、社内でシステム構築するのに比べて初期投資を大幅に抑えられ、スピーディに導入できるメリットがあります。

経理業務のシステム化以外には「仮想口座を利用する」という方法もあります。これは顧客ごとに割り当てられた、仮想的に作られた口座のことで、大量の取引を効率良く管理するために役立ちます。たとえば毎月1,000人の顧客から入金がある場合、1つの銀行口座にすべて入金されると管理がかなり複雑になりますし、中には会社名が同じであったり同姓同名の顧客もいたりします。そこで顧客ごとに仮想口座が割り当てられていれば、大量の取引も正確かつ効率良く管理でき、消し込み作業を簡素化できます。

もう1つの方法としては、消し込み作業をアウトソーシングするというものです。入金の消し込み作業や債権管理等を他の会社に委託すれば、その分の負担を軽減することができます。

いずれの方法でも大切なのは、自社にとって最適な簡素化方法を探ることです。どれくらいの負担を軽減すれば生産性が向上するのか、何が課題なのか、そこにかけられるコストはなどを十分に検討することで、最適な消し込み作業の簡素化方法を見つけてください。

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消し込みって何?大変な作業を改善する方法」についても詳しくご覧ください!