企業間取引において、売掛金の未回収リスクを回避するために不可欠なのが「与信管理」です。新規取引先の開拓は事業拡大のチャンスですが、同時に貸し倒れのリスクも伴います。本記事では、企業間取引における与信審査のポイントと、安全な取引を実現するための具体的な方法を解説します。
与信管理とは、取引先の経営状況や支払い能力を評価し、取引の可否や取引金額の上限、支払い条件などを決定する一連のプロセスのことです。
与信管理は、自社の売上債権(売掛金)が確実に回収できるかを確認するために行われます。その主な目的は、貸し倒れリスクの回避です。取引先の倒産や支払い遅延により売掛金が回収不能になることを防ぎ、自社の経営を守るために欠かせない業務です。
取引先の信用力を判断するためには、主に以下の3つの情報を総合的に評価します。
決算書や財務諸表から得られる客観的な数値データです。
数値には表れない、企業の経営実態に関する情報です。
実際の取引における支払い状況や、商慣習に関する情報です。
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与信審査を行う際は、自社だけでなく、外部の情報を有効活用することが重要です。
調査会社のデータは非常に有用ですが、情報が古かったり、中小企業では情報が少ない場合があります。複数の情報を組み合わせて多角的に判断することが大切です。また、与信調査にはコストがかかるため、与信金額に応じて適切な調査レベルを検討することが推奨されます。
近年のテクノロジーの進化により、与信管理も効率化・高度化が進んでいます。
従来の紙ベースやExcelでの管理から、与信管理システムへ移行する企業が増えています。システムを利用することで、与信調査情報の自動収集、審査基準の統一、取引先の支払い状況の一元管理が可能となり、業務効率が飛躍的に向上します。
請求書払い代行サービスや後払いサービスなどのBtoB決済サービスは、与信管理の手間を大幅に削減できる有効な手段です。サービス事業者が取引先の与信審査や請求業務を代行し、万一の貸し倒れリスクも保証してくれるため、安心して新規取引を開始できます。
与信管理は、企業が成長するための重要なリスク管理です。定量情報、定性情報、商流情報の3つの視点から取引先を総合的に評価し、自社の取引基準を明確にすることが不可欠です。
自社での調査に加え、外部の調査機関やBtoB決済サービスを賢く活用することで、与信管理の精度を高め、事業のさらなる拡大とキャッシュフローの安定化を目指しましょう。